シュシュの性格も大胆にしてみた(自重しない)1/2

※前話の後日談にして、焼き直しになります。ご了承下さい。



 冬のヴァレンティア城の一室。

 わたくし、シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティアは、お姉様……ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティアから、昨日の出来事を問いただしていた。

「お姉様……お相手は、やはり……」

「そう。龍野君よ」

 やっぱり兄卑あにひ……改め、須王すおう龍野りゅうやだったのね!

 私のお姉様を……! 許せませんわ!

「ちょっとシュシュ、目が三角になってるわよ? 龍野君に対して憤るのは筋違いだということ、わかってるかしら?」

「はっ……!」

「無理やりならいざ知らず、私が許しているうえに、毎晩しているのよ? 貴女がどう思うかは自由だけれど、私達に干渉するなら見逃せないわね」

「そ、それは……そうなのですけど……」

 そう。私が今落ち着かないのは、”兄卑がお姉様に手を出した”という理由だけではないの。

 兄卑……私がそれとなく誘惑しても、無関心ですもの。

 確かにお姉様と比べれば、背丈も胸も小さい……言うなれば、お姉様のダウングレード版となっているんですの、私は。

 けれど……流石に、いつまで経っても無関心でいられるのは、辛いんですのよ……。心も体も幼いのは自覚していますけど……それでも、私を”一人の女”として……認めてほしいんですの……。

「何をしょげているのかしら、シュシュ?」

 私を見かねたお姉様が、声をかけてきましたわ。

「ふーん……ちょっとごめんなさい、シュシュ」

 すると、お姉様がスカートの中をまさぐり始めた――って、ええ!?

「っ!? お姉様、一体何を……!」


「ああ、やっぱりね。シュシュ、もしかして、貴女……龍野君にんでしょ?」


「お、お、お、お姉様……一体何を、仰るのでしょうか……!?」

「貴女、スカートの内側……湿ってたわよ?」

「!?」

「まあ、龍野君を想ってのことだったのでしょうけど」

「じ、冗談じゃないですわよ! 誰があんな男……」

「私、知ってるのよ、シュシュ? 毎晩毎晩、龍野君のことを想いながら、一人で寂しく……」

「ふわああああああああっ! お姉様、もうおやめください!」

「うふふっ、素直な子ね」

 すっかり手玉に取られてしまいましたわ。道理で一度も、お姉様に勝てないワケよね。

「龍野君が欲しいなら、協力してあげるわよ?」

「遠慮します!」

 そこまで甘えるつもりは、ございませんの。全ては一人で済ませることですわ!

「あらあら。それじゃあ、見守っているわね。あ、シュシュ。これを」

 お姉様から、ケースに入った錠剤を渡された。

「これは……?」

「睡眠薬よ。飲み物に溶かして使いなさい」

 成程……流石はお姉様。かなりのやり手ですわね……。

「わかりましたわ。ありがとうございます」

 私はお姉様から伺った話を忘れない内に、自室に戻った。


     *


 瞑想を終えた途端、チャイムが鳴った。

「誰だ? まあ丁度いいや、出るか……」

 俺はインターホンをチェックする。

 扉の前にいたのは、シュシュだった。

「おうシュシュ。何の用だ?」

『兄卑? 扉を開けなくていいから、私のお願いを聞いて下さるかしら?』

「ああ、何でもいいぜ」

『今夜九時、私の部屋に来なさい』

「お願いじゃなくて命令だな……まあいいや。行くぜ」

『それじゃあ、九時に部屋で待ってるわね』

 それだけ言って、去っていった。あいつ、何がしたかったんだ――待てよ。

 ”『今夜九時』に部屋に来い”だって? まさか……いや、あいつが俺に積極的になることは、今までなかったはずだ。

 考えすぎてもしょうがない。俺は適当な本を手に取り、リラックスしながら読み始めた。


     *


 夜着る服の準備も整ったわ。正直、かなり大胆というか、ふしだらなのだけれど……。お姉様も同じような服を着ていたわけだし、仕方ないわね。

 それよりも。お姉様から賜った睡眠薬の説明書を、一通り読み終えたわ。

 一番重要なのは……”服用三時間後くらいに効果を発揮し始める”という文言もんごんね。

 晩餐のときに、飲ませましょうか……。

 さて、どうやって飲ませるかを考えないとね。


     *


 そろそろ晩餐の用意が整う頃ね。

 私は龍野君を呼び出し、”内緒の小話”に付き合ってもらうことにしたの。

 龍野君が私と一緒に来てくれたことを確認すると、シュシュに念話を入れたわ。

「私は龍野君と一緒に五分ほど開けているから、先に食べていてちょうだい」

 さあ、この意味が通じるといいのだけれど……。後はシュシュを信じるだけね。


     *


 お姉様からの念話が入ったわ。

「私は龍野君と一緒に五分ほど開けているから、先に食べていてちょうだい」

 承知いたしました、お姉様。

 絶好の機会を下さり、ありがとうございます。

 私は兄卑の席にある水入りのコップに錠剤を落とし、軽くコップを揺すってかき混ぜた。

 知ってるのよ。兄卑、必ず最初に一口分の水を飲む習慣があることを。

 さあ、私の手の上で踊りなさい――私を満足させるために。


     *


「ご馳走様でした!」

 晩餐も無事に終わったわね。

 龍野君、ちゃんと水を飲んでいたわ。

 シュシュは薬を溶かしたかしら?

 まあ、全ては神のみぞ知る、ということかしらね。シュシュ、後は貴女一人で頑張りなさい。


     *


 さて、約束の五分前だ。

 それにしても……シュシュ、一体、何を目的に俺を誘ったんだ?

 いや、考えても仕方が無い。俺は思考を振り払うと、インターホンを押した。

「シュシュ、いるか?」

『早いわよ、兄卑!』

「五分前行動が習慣でね」

『まあいいわ、いらっしゃい』

 その言葉と同時に、八連のドアが開く。

 俺が通り過ぎると、一枚ずつ閉じていった。

 最後のドアを通り抜け、視線を動かす――と。


 そこには――昨日のヴァイスと同じ姿をした、シュシュがいた。


「おいお前、なんつー格好してんだ」

「いいじゃないの」

「体冷やすぞ。自分の体調管理はきっちり……うっ、眠い」

「せっかくだから、ここで寝たら?」

「お前にしては珍しい言葉だな……まあいいや、甘えさせてもらうぜ」

 その言葉を言い終えた直後、俺の意識は真っ黒になった。


     *


 あはっ、無様ね。薬を盛られたとも知らず、仰向けで寝ているなんて。

 さあ、ここからよ、私。じっくりと、兄卑を料理しましょう?

 まずは騎士服……ズボンのベルトを解いてジッパーを下げ、一気にずり下ろすわ。

 ついでに内側の布地もね……んっ、出てきた。

 これが、お姉様を滅茶苦茶にした……お仕置きすべきモノね。けど……意外とこれ、大したサイズじゃないわね。

 まあこのままだと、私の望みも果たせないから……仕方なく、してあげるわ。

 まずは飴を舐めるように、だったかしら? んっ……これ、すごい変な味。まったくもう……私に反応なさいよ、コイツっ!

 けど、少しずつ変化が始まったわね。ふふ、舐めれば舐める程に、ビクビクしてるんだから。持ち主同様、無様ね。

 さて、一分と経たない内に、限界サイズになったわ。

 それじゃあ、そろそろ目を覚ましてもらわないとね。


 何と言っても……兄卑には、目の前で自分の持ちモノが蹂躙される様を、見てもらいたいのだから。


 私は手のひらを広げて魔方陣を展開すると、兄卑の顔目掛けて魔術を発動したの。勢いよく水が流れ、兄卑の顔を濡らすわ。

「ぶっ!? ゲホッ、ゲホッ!」

 兄卑が目を覚ましたのを確認すると、私は術を停止した。

「誰だ!? って、シュシュかよ……」

「おはよう、兄卑」

「悪ふざけも大概にしろよな……っておい!? 何で、俺の下半身が露出してんだ!?」

「私が脱がしたからよ」

「何でだよ……! クソッ、体が反応しねえ!」

「残念だったわね、兄卑。そのまま大人しく見てなさい」

「おい、馬鹿、やめ――」

 兄卑の制止を無視して、私は腰を下ろす。

「いぎっ――!? 痛い、痛いぃっ!」

 思わず苦痛の声を上げてしまった。既に経験していたのに、何、これ――。私が滅茶苦茶に掻き回されてる、そんな、感覚。

「馬鹿、やめろ、無理すんじゃねぇ!」

 兄卑が私を気遣って、止めにかかる。

 けど、ここまで来たのに引き下がりたくない。

 私は意を決して、兄卑の上に覆いかぶさった。

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