第3話 リアンクール公爵


今日の名言

「いいえ陛下、暴動ではございません。これは革命でございます」

(Non sire, ce n'est pas une révolte, c'est une révolution.)


1789年7月14日バスティーユ襲撃事件が発生。

その夜のヴェルサイユ宮殿、国王の寝室。

 一日中の狩猟で、すっかり疲れ果てていたルイ16世は夕方ころにはぐっすりと眠ってしまっていた。そこにバスティーユ襲撃の一報がもたらされる。

目覚めた国王に対し、衣装係のラ=ロシュフコー=リアンクール公は、バスティーユ牢獄が襲撃されたことを告げた。

ルイ16世は「暴動か (C'est une révolte?)」と尋ねる。

リアンクール公答えて曰く「いいえ陛下、暴動ではございません。これは革命でございます。 (Non sire, ce n'est pas une révolte, c'est une révolution.)」

バババーン


ハイ、ここでアヴァンタイトル終り、オープニング入ります。


歴史に残るキメ台詞です。一体誰がどんなドヤ顔でこの名言を吐いたのでしょうか。


フランソワ・アレクサンドル・フレデリク・ド・ラ・ロシュフーコー=リアンクール(1747-1827)。

 ラ・ロシュフーコーといえば、名言集などでよく取り上げられる「箴言集」を書いたフランソワ6世・ド・ラ・ロシュフーコー(1613 - 1680)が有名ですが、彼とは遠い親戚になります。

 ハッキリ言ってリアンクール公爵といえば「陛下、これは革命でございます」と言った人ということで幾らかの日本人に名がが知られているだけ人です(言い過ぎか)。漫画『ヴェルサイユの薔薇』にも登場します。もちろん、上記名言を言うためだけに(アニメ『ラ・セーヌの星』にも出ています。もちろん、(以下略…)。

 さて、リアンクール公爵は決してルイ16世を心配して馳せ参じ、この名言を吐いたわけではありません。

 彼は立憲君主制を求めるいわゆる開明貴族でした。三部会でも第三身分との争いが激化すると、貴族に特権を放棄するよう提言したほどです。

 リアンクール公爵は、武力で平民主導の三部会を解散させようとする国王に対し、事態はもはや抗いきれるものではなくなっているという現実を突きつけるために現れたのです(リアンクール公爵は王室衣裳寮長官という地位にありましたので、ルイ16世の寝室に入ることができる身分にありました)。

 この名言と共にフランスの最も熱い5年間が始まるのです。

 さて、その後のリアンクール公爵、革命が激化するとアメリカに亡命。ナポレオンが政権を取るとフランスに帰国。一時政界に復帰し、その後は教育や福祉に関する活動を続けたということです。

 彼のように革命側に組しながらも、予想外に苛烈に過激になる革命の中、処刑されたり亡命せざるを得なかった貴族はたくさんいます。

 『手をとりあって』というわけにはいかないんですね、世の中。


 この名言、テンション上がりませんか!

 オープニングを〆るセリフとして、これほど心を熱くさせる台詞はなかなか思い付きません。こんな感じで自分の書いた小説の第一話を締めくくれたら、俄然やる気も出てくるというものです。

 ナポレオンの登場のせいで少しばかり影が薄くなってしまいますが、フランス革命は人類史上最大級の政治ドラマであることは間違いありません。

今後もフランス革命に関する名言をいくつか紹介することになると思います。

 もちろんマリ・アントワネットの有名なあの名言も!



今日の教訓

 第一話(オープニング)は大事である。

 読者にとっても。作者のやる気にとっても。







 







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