間章2 次兄の憂鬱

 昨今ダリウスが王都にいることは珍しい。王都で遊学していた頃は兎も角、当主である父親が一年の大半を出征か王都での公務で所領を不在にする事が常である以上、彼の兄か彼自身が所領での裁可を下す必要があった。その兄も婿養子として他家を継ぐ事がほぼ決まっていた為、跡取りとなったダリウスがここ暫く所領に籠もりきりになっていたのだ。

 ところが、このところ何故か珍しく父親が所領に引き籠もる事になったので、代わりにダリウスが王都での折衝に当たっていた。

 流石に他家を継ぐ予定の兄に何時までも家の事をやらせておくのは外聞をはばかるものがある。

 実際のところは未だに長兄が家中の取り纏めを行っていたが、対外的な体面というものはどこにしろ無視できないものであった。

 ダリウス自身も家中の信望が兄程ないことは一番よく知っている。元々、兄が家を継ぐ物と思い、王都に遊学し、人脈を作り、何れ来る独立の機を見計らっていたのだ。それが唐突に兄が家を継がずに他家に転がり込むという離れ業を行って見せた。兄なりに考えが合っての事と分かっていても、ダリウスとしては青天の霹靂、予期せぬ動きであった。

 ダリウスとて兄の大望を察してはいたが、てっきり父親の後を継いで行うものと思っていたのだ。それが夢にあっさり手が届く家に悩むことなく入ってしまった。その思い切りの良さはダリウスが真似できないものであった。

 ただ、ダリウスの様に割り切れているものばかりではない。彼の兄は間違いなく当世一と言って良い器量を有している。それだけの人物が他家に渡るのを嫌う臣下も多いのだ。ダリウスもその器量に負けず劣らずである事を皆が知ってはいるが、それでも彼の兄に直接治められたいと希望する者が多かった。

 ダリウス自体、その動きは仕方ないものと思っている。何せ、彼には大望がない。それなりの地位で大過なく嫁と過ごせればそれで良いと常々公言している様な男なのだ。より高みを望む臣下達から支持を得られないのも仕方がない。

(元々俺が継ぐとは思っていなかったのだから、保身がてら本音で語ったのが仇と出るとはな)

 心中で大きく溜息を付きながら、誰よりも先を読み切っている兄がそれを止めなかった理由を考える。最初から出るつもりだったのならば、それとなくダリウスに伝えるのが常道と言えるだろう。家中を取り纏められなかったのならば、実家からの支援を期待できない。だからと言って、兄が急遽家を出ることを考えついたのかと言えば疑問が残る。用心に用心を重ねて、問題ないと思ってから行動するのがダリウスの習い性だが、自分の兄はそれを上回る用心深い男だと知っていた。間違いなく問題がないと自分で納得できるまで状況をねくり回し、自分にとっての最適な状況を作り上げる。それが彼の兄である。

 そこまで理解しているからこそ、何故この状況を兄が作り上げたのか困惑しているのである。

(兄上の反応からして、この状況は望ましい筈。家が割れてはいないが混乱している、己の家への影響力は落ちていない、当主は替わらずに父上の儘。ここら辺が多分兄上の策の肝なのであろうが……。さてはて、何を狙っておられるのやら)

 宛がわれた自分用の執務室で瞑目して考える。

 既に籍の上では他家の跡取りではあるが、向こうも未だに当主の代替わりをしていない為、何故か家の仕事の大半は今以て兄が片付けていた。流れを知っておかないと困る仕事は廻してくるものの、誰が処理しても問題ない仕事は何も言わずに兄がさっさと片付けてしまうから、ダリウスは暇を持て余しているのである。

 彼の思索を妨害するかの様に扉からおとないを知らせる音が響いてきた。

「開いている」

 ダリウスは端的に入室の許可を出し、目を開いた。

「失礼致します、殿」

 ダリウスより一回り以上年嵩の男が完璧な所作で一礼し、入室してきた。

「これは先生。如何なさいましたか?」

 ダリウスは慌てて椅子から立ち上がり、歓迎の意を示した。

「貴方は私の主なのですから、その振る舞いはお止しなさい」

「自分よりも優れたものを持つ方に敬意を表するのは人として当たり前の行為です。主従の関係よりも俺は重いものと考えております」

 アレウスは師弟の礼を以て男を歓待する。

「やれやれ。私は只の小役人ですぞ、殿」

 いつも通りの反応で返され、男は思わず苦笑した。

「それでヒューイット先生、何があったのですか?」

 丁寧な態度を崩さずにダリウスは目の前の男に尋ねる。

「早馬が参りましてな。ラヒルが陥落したとの事です」

「それは随分と早いですな」

 流石のダリウスも顔を顰める。

「若君も殿も最初から想定なされていたのでは?」

「まあ、落ちるとは思っていましたが、ここまで早いとは考えてはいませんでした」

 ヒューイットの問い掛けに、ダリウスは率直に答えた。

「ふむ……。殿はどちらにしろ落ちると読んだのですね?」

 ダリウスの態度からヒューイットは二三の事を脳内で推測、その確認の為に大前提を問い糾した。

「そうですが、何か?」

「いえ、その根拠を知りたいものでしてね」

 主の返しから隠し通す程の問題ではないと判断し、ヒューイットは核心に斬り込んだ。

「……先生にならば、話しても問題はありませんね」

 暫し悩んでから、ダリウスは徐に口を開いた。

「おや、これは藪蛇でしたかな」

 肩を竦めながらヒューイットは思わず笑う。

 そして、主の反応からヒューイットは自分の推測の内、幾つかは間違いなく正解だと確信に至る。

「それで、先生は何を知りたいので?」

 ダリウスも又、この臣下が与えられた情報から正しい答えを導き出していると理解していた。

 何せ初めて出会った時からしてダリウスはヒューイットに負けていたのだ。そのヒューイットが自分より読みが浅いとは到底思えなかった。

 アレウスが廻国修行の旅に出てから暫くして、ハイランドは不穏な雰囲気に包まれていた。アレウスが生まれるより前に亡命してきたソーンラントの王族や貴族が勢力を伸ばし、元からいたハイランドの弱小領主の所領を横領し始めていたのである。

 ただ、ハイランド中枢部はそれを理解せず、亡命者の好待遇に対する嫉妬程度にしか考えていなかった。これは亡命者達が王都では腰が低かった為に常日頃から中央に不満を言い募っていた地方領主の言い分を中央が信じなかったという根の深い問題も孕んでいた。

 故に、問題が噴出すること自体は時間の問題であった。

 しかし、誰もが予測しなかった処で最初の狼煙が上がった。亡命者が居住する地域からは少しばかり離れた丘陵交じりの豊かな土地で中央への抗議活動が相次いだ。

当初、事態を甘く見ていた中央はお座なりな対応をした。それが抗議側の怒りを買い、話し合いでの解決は不可能となった。

 愚かしいことに事ここに至っても中央は事態を軽視していた。全力で火を消すべきであったのに、明らかに力の足りない者にそれを委ねたが故、他に不満を持っていた地域にも問題が波及した。

 それでやっとハイランド中枢は切り札を切る事にした。近隣諸国にも“軍神”の二つ名が鳴り響いているダリウス達の父親を討伐軍の総大将に抜擢したのだ。

 これにより流れが変わったのだが、反乱の首謀者と最初に騒動が起きた地域だけは頑強に抵抗を続けていた。

 そこで“軍神”は丁度共に出征していたダリウスに最初に騒動が起きた地域の対処を任せ、自らは首謀者と干戈を交える為に進軍を開始した。

 ダリウスは一軍を任せられるや否や、直ちに目的地に直行した。その間に集められるだけ情報を集め、現地を自らの目で確認した。結果、分かった事は理は相手方にあったと言うことと、相手方の将が実に見事な兵法家という事であった。

 より相手を知りたくなったダリウスは、到着時に捕まえていた相手の斥候を直接尋問する事にした。その場でダリウスは有ろうことか、相手の将がどれだけ優秀かを力説、ハイランド中枢の判断が間違っている事までちまけた。それには斥候の方が恐縮し、ダリウスをいさめる程であった。

 ただ、ダリウスの方にも言い分がある。ハイランド有数の武門の家に生まれた者として、国内の知れた将を全て把握しているのにも関わらず、その誰よりも優れた采配を為す者が突如現れたのである。如何なる手段を用いてでもその知己を得たいところであったし、現場で知った情報から現状が余りにも馬鹿馬鹿しく思えた為に当初のやる気を全て失っていたのだ。

 だからこそ、この度の行動が完全な無駄な事にならない様に、少しでも何らかの収穫が欲しかった。そこで、どの様な手段を用いてでも敵方の将を手に入れ、尚且つ武力衝突以外での解決を目指そうと方向転換してもおかしくはない情勢であったのだ。

 しかし、現実は彼が考えているよりも奇なものであったのだ。

の時の殿と同じ事ですかな」

 二人の間からしてみれば、諧謔の効いた台詞でヒューイットは笑って見せた。

「これは手厳しい……」

 思わずダリウスは苦笑する。「全てを知っている方が目の前にいるとは想像も付かなかったのですよ。勘弁して下さい」

 ダリウスが参るのにも理由があった。

 ダリウスが捕まえた斥候こそがヒューイットであった。

 当時のヒューイットは騒ぎが起きた地方の小役人であり、ソーンラントに人類至上主義が蔓延した頃に移住してきた丘小人ホビットたちの末裔を世話する係であった。世話と言っても丘小人がハイランドに帰属する為の約束事を互いに守っているかどうかを確認するだけの仕事であり、場合によっては国の仕事を斡旋する潤滑剤の役割を担う者であった。

 ヒューイットが抗議活動に参加したのはソーンラントからの亡命者たちが丘小人を無用に痛めつけてくるのに耐えられなかったからである。この地方の者が立ち上がったのも矢張り既に同胞と認めていた丘小人を守る為であった。

 しかし、不運な事に初戦で彼らに味方してくれた武官が討ち死にしてしまい、指揮官がいなくなってしまった。そこで白羽の矢が立ったのがヒューイットであった。

 それまで軍とは全く関係の無い世界で生きてきたヒューイットであったが、古の兵法者の著述や“軍神”と呼ばれているダリウスの父親が行ってきた戦の研究、他にも各地の名将の行動を研究するのが趣味であり、生き甲斐でもあった。それを知る者が彼を推挙したのである。

 当然、ヒューイットは固辞したが、情勢がそれを許さず、彼は受けざるを得なくなった。

 大概の戦史研究者は理論倒れで実のないことが多い。しかし、彼のそれは机上の空論等ではなく、恐るべき神算鬼謀となった。それまで使われていなかった才能が一気に開花した、そうとしか表現できない鮮やかさであった。

 そして、その鮮やかさが更なる大火を呼び寄せる事となったのだから皮肉なものである。“軍神”と当たれば彼とてどうなるか分からなかったに違いない。彼にとって僥倖だったのは、自ら新たに繰り出された軍への偵察に当たりあっさりと敵軍に捕まったことである。その軍勢の指揮官がダリウスであったことは度を超した幸運であった。何故ならば、それにより彼の思うところを全て伝えるべき相手に伝える機会を得られたからだ。

「何、あの若君が今回の様な状況下で何もしていない訳が在りますまい。弟君である殿にも何かしら相談なさっているのでありましょう?」

「まあ、そうは云っても今回の件で俺は当事者ではありませんからね。先生が知りたい事全てを知っているか怪しいところですな」

 ダリウスは期待に溢れた視線を送ってくるヒューイットに苦笑で返した。そして、現状がある意味であの時に似ているなと内心で思った。

 実際、ヒューイットから事情を教えられる迄、あの当時、ダリウスは何一つとしてその時何が起きていたのかを理解していなかったのである。何せ、彼の父親は戦場の事以外には興味がなく、兄は兄で珍しく他のことにかまけていて彼に丸投げしてきていたのだ。

 だからこそ、勇躍して先陣切っていたわけだが、事情を知って困惑した。

 どう考えても中央の対応が問題であり、亡命してきた連中の一部がハイランドを掌握しようと反乱の準備をしているとしか思えない状況なのだ。力尽くで鎮圧したならば、後々禍根となるだろうし、何よりも反乱を企図している連中の思惑に乗る事になる。

 そこで、ダリウスは自分の名の下にヒューイットの要望を全面的に受け入れ、今回の騒動に参加した者の身の安全を保証した。

 それから彼は目まぐるしく動いた。父親には虎の子の魔術師を使って魔術による緊急連絡を行い、自分が赴くまで戦端を開かないように伝言した。兄に対しては早馬で亡命者たちが反乱を企図していると報告し、自らは信頼できる部下に現場を任せて父親の元へとひた走った。

 そして、状況を理解した父親に今回の件を起こした首謀者との和議を申し入れ、それを見事に斡旋あっせん、武力衝突をぎりぎりのところで回避した。

 その結果を手にヒューイットの元に戻り、丘小人との和解も果たし、次なる亡命者の反乱へと備えを向けることに成功した。

 そう、備えていたのだ。

「結果として、あの時は若君の独壇場でしたな」

「我が兄ながら怖ろしき方よ……」

 当時の事を思い起こしながら、ダリウスは今でも肌が粟立つのを感じざるを得なかった。

 あの時、既に兄は動いていたのだ。

 それも、亡命者の切り崩しに、である。

 誰もが怪しんでいなかった亡命者たちの間に反乱の気運が高まっていると判断した時には既に手の者を廻し、反乱に加担しなければ今の所領を安堵した上で加増も働きかけても良いと家の名を用いて工作していた。

 亡命者の中にはソーンラント時代よりも実入りが良い者が多く、更なる収入を求め、ソーンラントに残っている一門を呼び寄せる者も少なくなかった。何せ、ソーンラントよりも温暖で土の質も良く、やる気があるならば冬場も耕作可能な土地柄だったのだ。ただ、最大の問題は人が足りないだけで、人さえいれば間違いなく豊かになる土地であった。

 だからこそ、一部の者達が勘違いしたのであろうし、夢を見たのであろう。ソーンラントから追い出された自分達がより強い力を手に入れられると勘違いしてしまったのだ。

 “軍神”の一門さえ何とかすれば、ハイランドが手に入る、そう勘違いしてしまったのだ。

 問題は、その“軍神”の直系に怖ろしい者が潜んでいた、そういうことなのである。

 そして、その怖ろしい者は身内にすら真価を知られていない頃であった。

 知っていたのならば、ダリウスはもっと他の動きをしたであろう、今ではそう思っている。

 機が熟したと思った亡命者達が反旗を翻した時、それは逆に孤立への第一歩だった。その様な状況を密かに作り上げていたのだ。

 御陰でダリウスは偉く肩すかしを食らった気分になった。後に真相を知ってからは、絶対に彼の兄を敵に回したくないという思いだけが残った。それまでも兄を敵に回す気はなかったが、兄の勘気に触れるようなことを考えてはいた。政を顧みない父親を無理矢理隠居させて、兄に跡目を継がせるという乱世で良くある話だ。自領の為にはそれが一番良いとダリウスは合理的に判断していた。

 ダリウスとて父親が嫌いな訳ではない。むしろ、尊敬し、敬愛していると言っても良い。ただし、それは軍人としての父親であり、領主であったり政治家でもある父親に対してはある種の憎しみすら覚えていた。

 彼の父親は周辺諸国からも“軍神”と呼ばれる程の戦上手である。しかしながら、天は彼に領主として必要な才能を与えなかった。致命的な政治音痴なのである。

 戦に関わる事ならば、彼の父親は誰よりも優れていた。戦にかかる費用も理解していたし、戦というものが積み重ねてきたものの結果を見る場と言う事を誰よりも知っていた。問題なのは、その金を作り出す事が苦手どころか借金を作る事に関しては有能だった点である。

 ハイランド随一の領主であり、様々な権益でもって富んでいた家がダリウスが家の状況を把握した時には一年の収入の数倍の借金が積み重なっていた。彼の兄が相当数減らしたのにその様であり、兄が増やした収入よりも父親が使う軍費の方が圧倒的に多いと言う笑えない状況だったのだ。どう考えても、家の事を思えば父親を押し込めてでも隠居させなければ健全な財政を取り戻せない、その様な有様だったのだ。

 当主となった兄が出兵の有無を決め、それに応じて父親が出陣する。家と父親の好みを両立させる手段をダリウスはそれ以外に思い付かなかった。故に、王都に赴任している家の者に対して遊学中にそれとなく根回しを始めていた。王都に着任しているものの多数は文官であり、家の建て直しの策としてダリウスの提案は真っ当なものと好意的に受け止められていた。文官の誰しもが御家の危機に頭を悩ませていたのである。

 ただ、彼らが直接動けば武官の反感を買う事となり、それはそれで御家の新たなる危機となる。御家騒動を起こさずに家中の改革を為す手として、家督継承件二位のダリウスが一位の長兄を担ぎ出す計画は家中の混乱を最小限に抑えながら、所領の収入を着実に増やしている実績を持った長兄が上に立つという文官からすれば最良の手を提案してくれたのだ。一も二も無く、文官達はダリウスを密やかに支持する事となった。

 国元でも同じ様な根回しを続け、家中の文官大半の支持を取り付け、機を見計らっていたのだが、兄を敵に回しかねないと判断してからは計画を修正せざるを得なかった。

 そして、今度は計画を修正したら修正したで、兄が他家に養子に行くと言い出したのだ。

「今も昔も兄上の掌の上ですからね」

「確かに、連中の反乱があっさりと鎮圧出来る程度なのは驚きでしたな」

 苦笑しているダリウスに対し、ヒューイットも深々と首を振って見せた。

 ヒューイットも又、降伏後の流れに驚きを覚えた者である。場合によってはハイランドを混乱の渦に巻き込みかねない反乱が起こると理解していた数少ない人物の一人だったのだ。未然に防げなかった以上、一命をなげうってでも被害を最小限に抑える覚悟を決めていた。

 それが、蓋を開けてみれば亡命を積極的に主動してきた王族やそれに継ぐ貴族以外に動く者がなく、騒動を鎮圧する為に出撃してきていた“軍神”の手勢だけであっさり事が済んだのである。

 余りのことに、ヒューイットは己の読みが間違っていたと思わずにはいられなかった。

 しかし、ダリウスの紹介により戦場まで出て来ていた彼の長兄と出会い、話し込んだ結果、彼は異なる結論に至った。世の中、自分では到底適わぬ知恵者がいる、それだけの話だと。

 故に、彼はダリウスの招聘しょうへいに答えることにした。自分の才覚を尤も活かせる場で、自分を最も高く買ってくれる主君に仕える。それこそが、自分をまだ見ぬ高みに導き、己の無力さに臍を噛む真似をしないで済む唯一の方法と悟ったのだ。

 そして、適うならば、生まれて初めて底知れない恐怖を覚えた相手を上回る機を得たい、その様な一心もあった。

「先生を幕下に加える事が出来た御陰で、兄上の為さろうとしている事がよく見えるようになりました。誠に助かります」

 ダリウスは深々とヒューイットに頭を下げた。

「ははは、殿。お気になされずに。私を高く買ってくれる殿だからこそ、こちらも仕え甲斐があるというものなのです。士は己を知る者の為に死ぬ。我が身でこの事を体現する事になるとは思いも寄らぬ事でしたが、これはこれで楽しき事なれば」

「そこまで俺を高く評価して下さる先生の求める情報を持たぬ我が身の非才を呪いますな」

 ダリウスは思わず溜息を付いた。

 あの時の教訓から、ダリウスもダリウスなりに情報を集める組織作りをしてきたが、家中で有能な人材は父や兄に流れ、外にいる人材を広く求めようにも彼が動かせる資金など知れたものである。到底ダリウスが満足出来る情報を集めることはできていないのが現状であった。

 ただ、兄を擁立する為文官に根回しした結果、幸か不幸か文官の掌握には成功していた。その御陰で、家中の情報に関しては失敗すると兄よりも詳しい時もあった。

「さてはて、あの時の私よりもものを知らないと仰せられる。これは異な事を。噂の御舎弟殿に何かさせているのでありましょう?」

「……アレウスに? どういう事だ?」

 意外な言葉を聞き、ダリウスは思わず素で答える。

「……? 違ったのですかな? そこらで若君の“ペッツォ”の方々が行き来しているのを見かけたのですが?」

 ダリウスの余裕のない態度を見て、流石のヒューイットも困惑を隠せなかった。

「兄上の手の者が動いている? 初耳とまでは行かないが、先生に見咎められる程かね?」

 ダリウスは自分の配下の中でもヒューイットを別格と見ていた。

 元々、家を継ぐのは兄と見通して何時か王都で独立した家門を作ることを想定していたのである。家中の者ならば代を継げない次男以下を、遊学中に知り合った偉才に唾を付け、戦場に於いては敵味方構わずヒューイットの様な才を見つける度に声を掛けてきた。

 その誰も彼もダリウスが自ら見定めこれぞと思った逸材揃い、噂の“覇者”の麾下に比べても負けず劣らずだと自負している。

 中でもヒューイットは格別であった。ダリウスやその兄ぐらいしか読み通せない事柄も何のことはないとばかりに把握し、意見を述べる。ダリウスの動きを見て、次の展開を見越した献策をする。例を挙げれば枚挙に遑が無い。ダリウスの麾下について以来、水を得た魚とばかりに縦横無尽の働きをしていた。

「あれだけ纏まって動き回っているとなりますと、今の国の状況から考えて御舎弟殿経由で“覇者”の動きに何かあったと知らせが来たとしか思えませんでな」

 何やら考え始めた様子の主に対し、ヒューイットは材料となる様な己の考えを開陳した。

「成程。兄上に後で聞いて置いた方が良さそうだな」

 ヒューイットの考えを聞き、ダリウスは即座に決断した。

 基本的にダリウスはアレウスの動きに然程注視していない。一人前の男が己の意志で旅に出ているのである。それに介入するのは過保護だと思っているのだ。付け加えれば、世にも珍しい対人を主眼とした武に重点を置いているアレウスが、人類種の多い地域を廻っているのだからどうにでもなると信じているということもある。

 その点で彼が過保護と思っている長兄との姿勢に差があった。

 しかしながら、ダリウスはヒューイットの言を聞き、考えを改めた。動いているのか動いていないのか誰にも確認のしようのない筈の兄の密偵集団がヒューイットの目に留まる程に動き回っているのならば、明らかに異常事態を示していた。なるべく早く、兄との方針の一致を図った方が良い、そう決断するだけの情報と考えた。

「それが宜しいでしょう。私の方に入ってきている情報も既にソーンラントの南部は完全に“覇者”が切り取ったとの事ですから」

 ヒューイットも又、ダリウスの兄に感化された男である。

 先を見通す才能があろうとも、同じかそれ以上の力を持った相手との知恵比べとなった場合、最後にものを言うのは情報の量である。量だけではなくなるべくならば質が高いことに越したことはないが、粗雑な情報にも一面の真実が紛れ込んでいる事がある。兎に角、必要と思える情報を集めて、それを自分で取捨選別する。その為に、かつての同僚と連絡を取り合ったり、連尺れんじゃく商いをする者との繋がりを増やしたり、頻繁に各種組合ギルドの伝手を作る努力をするのが最近の仕事であった。

 それでも尚、ダリウスの兄との隔絶した差は埋まりようもなかったが、己の主の為になる働きとしては十二分と言えた。

「……残りは中央部と江によって断絶された北部にファーロス一門が遠征中の東部、か。ネカム以南が“覇者”のものになった以上、ラヒルの陥落は見えたも同然ですな」

 当然、ヒューイットが手に入れられる程度の情報ならば、ダリウスとて調べきれる。二人とも同じ情報を引き当てたならば、それはそれで裏が取れたということであり、満足するべき結果であった。

 故に、ダリウスは状況の把握ができたことに安心を覚える。

「まあ、あれだけ余裕のない動きを“駒”がしているからには御舎弟様の身に何かあったと考えるべきでしょう」

「根拠は?」

「私は残念ながら御舎弟様の実力の程を知りませぬが、若君も殿もそれをよく御存知の筈だ。若君があれほど形振り構わずに動くと云う事は、御性格上、国の一大事か御家族の一大事があったと云う事でしょうな。流石に国の一大事ならば私とて耳にしている筈。ならば、もう一つの方で若君は慌てられているのでしょうな」

「道理ですな」

 理路整然としたヒューイットの読みを聞き、ダリウスは重々しく頷いて見せた。

「ええ、道理です。ですからこそ……疑うべきかと」

 声を潜め、ヒューイットは進言した。

「兄上が動き出している、か……。やれやれ、文官の御機嫌取りを開始せねばなりませんかね」

 大きな溜息を付きながら、ダリウスはこれからやらなくてはいけない事を素早く勘案し始める。

 いくら財政の健全化を目指す兄とは言え、一見すると不必要と思える行動を取れば文官たちの不評を買う。唯でさえ借金が嵩んでいるのだ、不要な出費を嫌うのは文官の本能と言えた。例え、家中の信望篤い兄でも無理をすれば強い反発を受ける。その上、形式上ではあるが、既に他家の人間でもある。ある意味で杓子定規であることを美徳とする文官からすれば、それらの積み重なりは致命的な反発を生み出すと考えられた。

 そうなる前にダリウスが根回しをし、兄が動きやすい状況を作る事こそが最善であると結論づけたのだ。

「それが妥当かと。あの方の事ですから、この後大きな事が起きると考えて置いた方が宜しいでしょう」

「“帝国”が北上してくるのは今少し後でしょうし、アレウスが“覇者”に捕らえられるような真似は兄上の目が黒い間はない筈……。すると、“江の民”が動くか、それともファーロスの一門が何かやらかすか……」

「若しくは、ソーンラントが地図の上から消えるか、でしょうな」

 ダリウスの言を継ぎ、さらりととんでもない事をヒューイットは言い出した。

「兄上の覇業が始まる前に終わりかねないな、それは」

 突拍子もないことの筈なのに、ダリウスにはそれが尤も可能性の高いこととしてすとんと胸に落ちる。こないだ呼び出された時に見せていた余裕と、ヒューイットの報告から見えてくる兄のそこはかとない焦りから見えてくるものがあった。

 何としても抑えておきたい何かがあるのだ。“覇者”の思いも寄らぬ伸張に流石の兄も困惑しているのだと感じた。

「せめて、バラーは保って貰わぬと困りますな」

 真顔でヒューイットはぽつりと呟いた。

 そして、それにはダリウスも同感であったし、きっと兄も同感だろうと思った。

 アーロンジェ江のハイランド国境に近い南岸に位置するバラーはラヒルの詰めの城であり、対ハイランドの前線基地でもある。

 そして、アーロンジェ江北岸にある自由都市や未だにソーンラントに付いている領主たちとの連絡口でもあるのだ。そこより下流が“江の民”の領域テリトリーである以上、ありとあらゆる意味でソーンラントの生命線と言える街であった。

「流石にバラーが落ちたら、如何なファーロス一門とて東征を続けられぬだろうしなあ」

「御意」

 ヒューイットは短い返事をした。

 ダリウスは、この男が基本余分なことを言わないことをよく知っている。必要だと思うことはくどくどと説明することもあったが、それが充分に為されたと判断するとダリウスが結論を言う迄は余計な差し出口を一切挟もうとしない。例え自分の結論とは違っていても、主が決めたことには反対すらせず、それを成功させる為に全力を注ぐ。ダイトン・ヒューイットとはその様な男であった。

「俺に何かが出来ると思うかね?」

 故に、ダリウスは素直にヒューイットに助言を求めた。

「さて? 我が君の御心の儘に」

 知らぬ者が聞いたのならば、責任逃れのはぐらかす言葉であろう。しかし、ヒューイットはダリウスが既に何をするか決めているものと判断していた。

「ま、俺は動けん。兄上にお任せしよう。とりあえず、遣れる事は家中の引き締め、ソーンラント方面への情報収集の強化といざという時に兵を出せる様に準備しておく程度、か」

「既に若君がなされているとは思いますが、殿が殿なりに動く用意をしておくのも肝要かと」

 ヒューイットは深々と頭を下げた。

「ま、兄上が俺に声を掛けていない時点で、遣れる事など限られていますからね」

 ダリウスがホッと肩の力を抜いた瞬間、

「大将、何か面白い事でも起きてんのか?」

 と、騒がしい男が何の前触れもなく入室してきた。

「ブーン殿。流石にノックをしないのは如何と思われるが?」

 ヒューイットの苦言に対し、

「大将は気にしねえよ、そんな事。何せ、焦臭い時だぜ、おい」

 と、豪傑笑いで受け流した。

「確かに俺は気にしないが、家中の者にはそこら辺五月蠅いのもいるから程々にな」

 ダリウスは慣れきった感じでそれを許し、苦笑して見せた。

「流石大将、話が分かる」

「それで、何事だね?」

「ん? 何か、こう、周りがよぉ、そわそわしている感じがするからよ、戦が近いのかと思って先陣を貰いに来たんだぜ」

 悪びれるところ一つ無く、ブーンはダリウスに先陣の誉れをねだった。

「負け戦の殿ならば兎も角、先陣は流石にくれと云われたから渡す訳にはいくまい」

 流石のダリウスもこれには苦笑しか返せなかった。

 父親が“軍神”と呼ばれているだけあり、ダリウスの家はハイランド有数の武門の家である。古来より、先駆けは武門の誉れと言われているだけあり、彼の家でも先陣を賜ることこそ武人最高の栄誉と受け止められていた。

 ダリウスが家中からの人気が兄程ないからと言って、彼に付いている者が皆無という訳ではない。その中には家中でも一二を争う剛勇の者がおり、おいそれと外様の将を先駆けに任じる訳にはいかなかった。

「まあ、それでも、貴殿にならば最高の見せ場を与える事に誰も異を唱えぬだろうから、それで我慢せよ」

 一種独特の嗅覚を持ったブーンの勘に呆れながらも感心し、ダリウスは宥める様に上意を言い渡す。

「チッ、仕方ねえなあ。大将がそこまで云われるなら我慢しますが、ちゃんと稼げる戦場を用意して下さいよ?」

「分かった、分かった。俺を信じて待っていろ」

 思わず笑みを浮かべながら、ふて腐れてみせるブーンに対してダリウスはあっさりと請け負った。

「おう、大将の事は信じているから大船に乗ったつもりで待っていますぜ」

 ブーンは豪傑笑いを絶やすことなく部屋から出て行った。

「あの男は変わりませんな」

 些か呆れた口調でヒューイットは溜息を付く。

 ただ、その口元は少しばかり笑みを堪える様な、その様な表情であった。

「ブーンはあれぐらいで良いのですよ、先生。あれで良く周りを見ている」

 静かに笑いながら、ダリウスはブーンを麾下に治めた日を思い起こす。

 ダリウスがブーンと初めてであったのは、まだソーンラントからの亡命者達が反乱を起こす前の話である。どこかで傭兵団を遣っていたブーンが食い扶持を求めていた時、ソーンラントからハイランドに移住するのに護衛を求める集団がいた。これ幸いとそれに乗っかり、ブーンはそのまま亡命者集団にそれなりの所領を宛がわれて雇われることとなった。

 以降、雇い主の意向でハイランドの要請に従い出陣することが幾度かあり、そんな手伝い戦の一つの際、“軍神”の手勢を率いて参陣していたダリウスと出会った。

 ダリウスは一際見事な働きをしたブーンに目を掛け、勝利の宴でその働きを褒め称え、余りもの好待遇で誰もがそれを信じられない程の条件を提示して引き抜きを仕掛けた。

 流石のブーンもそれを信じ切ることができず、その場では丁重に断ることを選んだ。

 ダリウスも又、その場では引き下がった。最初から、それで麾下に迎え入れられるとは考えてもいなかったし、元々後々の縁を考えての接触であった為、顔と名を覚えて貰えれば、程度の行動であった。

 それでも、何かしらの機会がある度に挨拶をしたり、贈答品を贈る事で良い印象を与える努力は続けていた。

 ブーンも傭兵の頭を務めるだけの器がある男であり、ダリウスが本気で自分を評価し、敵に回したくないと考えていると理解した。

 そして、彼は傭兵団の長であった為に、その時の雇い主とダリウスを天秤に掛けることにした。

 実際のところ、ブーンもダリウスのことを高く評価していた。自分のことをこれほど高く評価してくれた雇い主は未だにいなかったし、何と言っても、彼が知り得る限り恐るべき戦上手であった。敵に回すより、味方として同じ陣営に居たい相手、そう認識していたのだ。

 だからと言って、そのまま直ぐに味方すれば雇い主に対する不義理にもなるし、安く見られるかも知れない。陣営を乗り換えるならば、乗り換えるなりの機というものがある。ブーンはそれを見計らっていたのだ。

 当然、ダリウスもそれは理解しており、お互いに機が熟すのを待っていたところ、起きたのが亡命者たちの反乱騒ぎである。

 流石のブーンもこれは不味いと即座に理解し、慌ててダリウスの元に出向いて取りなしを懇願した。

 ダリウスからしてみると、濡れ手に粟、棚からぼた餅と言ったところであったが、問題はブーンが反乱を起こした者の手引きで所領を得ていることであった。

 流石に関係ないと強弁するには厳しいものがあり、恭順の意を示してきた事による恩赦を狙い、何とか所領の没収だけでことを治めた。

 そして、追放刑ではない為に、そのままブーンの傭兵団ごとダリウスが雇い入れることができたのである。

 似た様な境遇の者たちが連座による極刑や罪人として財産没収の上で未開発の土地での開拓を課せられたことを考えれば、領主という地位を無くしたが収入はほぼ変わらず、新しい主を得たブーンは間違いなく身の振り方に成功した部類である。

 かくして、一連の騒動でダリウスの得たものは多かった。

 その上、彼の兄が終始陰に隠れていた為に、ダリウスの成果だけがより目立つ状況であった。この一件により、ダリウスの名はハイランド一円でよく知られる様になった。

「やれやれ。殿の器の大きさには些か呆れるしかありませぬな」

 ヒューイットは一礼し、「それでは急ぎ下がって調べて参ります」と、退室していった。

 ダリウスは徐に立ち上がり、壁に貼り付けられているハイランド周辺の地図を見る。

 南は“帝国”、西は峻嶺なる山脈に住まう竜、北は移住してきた丘小人やら鉱物資源に魅せられて何時からか住んでいた山小人ドヴェルグ、東は従来の仇敵であるソーンラントに囲まれているのがハイランドである。帝国との国境やソーンラントの国境付近にも厳しい山脈があるとは言え、強国が本腰入れて攻めてきたら現状厳しいのは確かなのだ。

(その為にも、兄上の計画通り、山小人を口説き落とさねば)

 人口数で二つの国に劣ると言うことは、動員兵力にも差が出ると考えるのが妥当である。それが即ち最終的な戦力差にはならないにしても、互角の戦力で消耗戦に持ち込まれれば最終的に兵力勝負となる。

 量で勝てなければ質で勝りたいところだが、両国共に名将に率いられた強卒が存在するのだから、いくら“軍神”と呼ばれる父親が優秀であっても限度というものは存在するのだ。正確に言えば、この中原で“軍神”と並び立つのがファーロスの現当主であり、“帝国”の“大将軍”である。些か逆説的にはなるが、国力で劣るハイランドが二つの強国相手に互角以上に渡り合えるのは“軍神”と後もう一人の名将が必死になって支えているからであり、その二人の引退がハイランドの終わりであると周辺からも見られていた。

 如何に“軍神”の息子である自分たち兄弟が優秀であったとしても、“軍神”ほどの信頼をハイランドの将兵から勝ち取れるかと言えば、時間が足りないと長兄とダリウスは結論づけていた。

 ならば、その時間に変わるものを用意すれば良いという簡単な結論に対し、長兄が導き出したものが山小人なのである。

(山小人の鍛冶師達が打ち出す鋼の武具。中原全土の冶金技術が青銅で精一杯である今ならば、鋼を手にする事で一気に状況を引っ繰り返せる)

 ハイランド北西部を穴が開く程注視し、それからこの世の終わりとばかりに大きな溜息を付く。(そんな金がどこにあるんだよ!)

 思わず心中でダリウスが毒突くのも仕方ない。只でさえ、軍需物資を調達するのに頭が痛くなる程の軍費を掛けているのに、それ以上に金食い虫の鋼の武具を買い揃えていったらどうなるか、他ならぬダリウスが一番よく知っていた。

 例え国庫を良い様に扱えたとしても、彼ら兄弟が想定している分量を用意するのに足りないのだ。どうやってかして、資金を生み出さない限り、画餅と言えた。

 最終手段である、アレウスに対して土下座してでも資金を調達するという奥の手を本気で取らざるを得ないのではないかと兄に訴える程だ。

 それに対し、

「何、先ずは山小人の心を捕らえる事からだよ。鋼を求めるのはそれからでも遅くはないし、金ならば心配するな。俺に宛がある」

 と、自信満々とばかりに兄が答えていなければ、ダリウスは既にアレウスの元に旅立っていたに違いない。

 ダリウスは兄がどうやって資金を調達するか予測もできなかったし、家中の取り纏めに忙しく、山小人との折衝がどこまで進んでいるかも知らなかった。

(……矢張り、兄上と話し合うべきか……)

 そう結論づけると、アレウスから贈られてきた秘蔵の酒瓶を片手に執務室を後にした。

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