第19話 おねむの時間

 美咲が喉をくすぐっている。


 巧い。よく俺のポイントをわかっている。


 おや、今度は脇腹か。


 それもいい。わかってるじゃないか。


 随分と温かい場所だ。こたつにはまだ早いのに。


 美咲が何か喋っている。よく聞こえない。まあ、聞かなくてもいいや。別に。


 もう少し眠ろう、と鼻を鳴らしたところ、美咲ではないことに気付く。


 その二人はとても芳しい香りの持ち主だ。


 お日様のような、野に咲く花のような、華奢ではあるけど、それでいてしっかりと芯を持った素晴らしい人間達。


 決してそんなことは言ってやる気はないが。


 薄目を開ける。


 やっぱりだ。


 二人はにこにこと微笑んでいる。


 美咲と一緒だ。いや、違うんだけど、でも一緒だ。


 愛すべき人間達。


 もう、いいや。


 ちょっと眠る。

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