2.3.近所の公園
香里ちゃんは、よく幼い私を近所の公園へと連れて行ってくれた。
第二北公園、通称シカク公園と呼ばれる公園だ。その名前の通り、公園は真上から見るとキレイな正方形で、周りを住宅の外壁が囲んでいる立地だった。しかし、そのせいでいつも少し暗くてジメジメした公園だった。
遊具は少なく、背の低い雑草がいつも生えていて、子どもたちは主に昆虫採集の場として利用していたと記憶している。
香里ちゃんは、よく私をそこで遊ばせて何処かへ行っていた。
一人になった私は特にすることもないので、いつからか始めた公園内の虫を全部殺すゲームをよくしていた。他にも公園の水道の水を全部飲むゲームや穴を掘って地球の裏側に行くゲームなんかもしていた。
今考えると馬鹿らしい遊びだが、そうやっていろんなことをしているうちに、いつも日は暮れた。
あの頃は時間が経つのが早かった。
辺りが真っ暗になったころ、香里ちゃんは赤く目を腫らして私を迎えにきた。そして、心配する私をギュッと抱きしめて、何度も「ごめんね」と悲痛な声を絞り出していた。
私は最初、何のことだか分からずに香里ちゃんの温かさを感じていた。
そしてそれが毎回のことになると、香里ちゃんのことを冷めた目で見るようになっていた。
同じ映画で何回も泣く人を信じられないと見下すような感情だったのかもしれない。
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