2.1.毒
この話を書いている私、神田洋は小学生高学年の頃からずっと殺人欲求を抱えていた。
人を殺したくない日はなかった。
とはいっても、人を殺すのはそう簡単なことではない。毎日毎日、家に帰ってから今日も人を殺すことができなかったと悔しく思う日々が続くだけだった。
そうして、心だけが著しく不健全なまま、私は大きくなった。中学に入る頃には少しは頭も回るようになっていた。
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『毒』
小学生の頃なら油断してる大人を毒殺することもできたんじゃないか。
中学に上がった当時は、近い過去を振り返ってそう後悔することが多かった。
毒自体は、幼いころからずっと遊びの一環で作り続けていたものがあった。
近所の河原に生えた雑草を摘んできてすり潰したものに、道端の犬の糞や食べ残した晩御飯の味噌汁、他にもありとあらゆる美味しくなくて体に害のありそうなものを混ぜた。
最初はジャムの空き瓶に入れて、庭の隅の木の陰に保管していたが、新しく材料を足していくうちにどんどんと量が増えた。
そして、瓶に入りきらなくなったころに梅酒製造用のボトルに移し替えて、庭に埋めた。
ちょうど、小学校の卒業式の日だった。同じ日に校庭には、タイムカプセルを埋めた。
何か私の中で関連づけてたのかもしれない。あるいは単に、一回発酵させた方が毒々しくなるという間違った認識があったせいかもしれない。
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しかし、当時の私はどうして毒殺なんて刺激の少なそうな殺害方法を考えていたのか。
もしかしたら、例のホワイトシチュー殺害未遂事件が関係あるのだろうか。
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