どうでもいい(リップ、江戸、ハンバーガー)

 ハンバーガーを食べるときの短所って、やっぱりリップが落ちることなの。


 せっかく綺麗な色なのに、油で浮いてきたのがバンズに付くという悲しみ。


「テリヤキバーガーセット一つ、ホットコーヒーで」


 それでも頼んでしまう美味しさ。


 待ち合わせの時間はとっくに過ぎているのに来ないあいつからようやく連絡が来るが「今起きた! 一時間くらいかかるわ」と言われ、入ったところがこのバーガーショップ。


 バッチリ決めたメイクが崩れるのもおかまいなしにかぶりつく。


 現代に落ちにくいリップがあってよかったと心から思う。危なく唇真っ白オバケが誕生するところだった。


 見てる人なんていないだろうけどね。


 あの制服の子もスーツのお姉さんも、みんな唇なんて気にせず食べている。きっと落ちても変わらず可愛いのだろう。


 私の場合は気にするだけ無駄ってだけで。でも血色感が全くないオバケは流石に厳しいか。


 こんなにも女性は綺麗にみたいな世の中で昔の人はどうしていたのか不思議だ。絶対落ちるじゃん。食べ物食べてもキスしても終わり。江戸時代の人は化粧直しめちゃくちゃしてたのかな。いや、その前からメイクはあるかな? リップどころかファンデがどろどろになりそう。雨の日とか嫌だなぁ。


 そんなことを考えて過ごす。


「あと三分で着くよ」


 そんな連絡にもっと早く言えよと思いながら、急いでトレーを片付け駅に向かうのであった。


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