秋の一幕(お茶、蛾、スケッチブック)
秋晴れ。そして紅葉。今日は良い日だ。
平日の昼間に川のほとりにスケッチブックを持って行く。川縁にある紅葉と川のコラボレーションを描くのである。
平日に大人が何やってんだという感じだが、誰に何と言われようと私の日常で不変なのである。
さて、お昼ということは、ご飯の時間だ。コンビニで買ってきたサンドウィッチを頬張る。トマトが多くて嬉しい。一緒に買ってきたホットコーヒーを合間に啜る。良い組み合わせだ。
食べ終わると、満腹感とこの日差しもあいまって眠気がピークに達した。このまま寝てしまっても良いだろうか。いや、私はここに絵を描きに来たのだ。寝てしまってはもったいない、と思う。
実は寝転んでいたので、仕方なく起き上がり、スケッチブックと鉛筆を用意する。
さぁ、川から描くか紅葉から描くか。うーん、紅葉かな。なんとなくで葉をかたどり、木はしっかり。川は動きがあるように。そこにある石もふわっと描く。
落ち着いて描いてたら、寒くなってきたような。持ってきた水筒の温かいお茶をいただくとしよう。直接飲むタイプではなく、コップがついたタイプのだ。コップにお茶を入れると湯気が立った。これこそ温かさの極み。はぁ、飲むと生き返った気がする。思ったより冷えていたみたいだ。もう少しだけ描いたら今日は帰るとしよう。
木や川、石を描き込む。あとは色を塗る時に調整していこう。こうして下書きが終わった。四時間くらいやってただろうか。
さて帰ろう、と思って立ち上がる。顔に何かがあたっている。痒い。え、虫じゃん。そんなものが飛んできて顔にあたりにくるとかどんな確率だ。しかも蛾。こんな季節に蛾なんて飛ぶのだろうか、生き残りか。痒い、痒い。引き千切ってやろうか。でも触りたくはない。気持ちとしては、という感じだ。変な粉とか付いてないだろうか。ちょっといらいらしながら家に帰ろう。最後の最後でこんなの嫌だなぁ。
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