橋の下(沼、ハエ、橋)

 この町、いや村は他の町村と離れている。ちゃんとした道路が無く、隣に行くまで遠回りとなり数時間はかかる。


 そんなこの村と隣町村に行く道路が作られるように話し合いの末決定した。

 ただし中間となる場所には沼があった。そのため、ここに橋が架かることになった。出来るまで半年程となっていたが、結局一年という月日を費やした。


 なぜそんなにもかかったか、それは度重なる事故によるものだった。


 橋の幅等を決めるための下見の際、一人の作業員が沼に転落し行方不明となった。

 

 これにより沼にできるだけ近づかないように進み、橋の骨組みを建て始めた。これは沼の上を通り作業しなければならなかったため、作業員は命綱をつけ行った。それにもかかわらず事故は起こってしまった。沼の上の骨組みが一メートル程崩れたのだ。

 

 この事故で二人の作業員が転落、行方不明となった。その後、橋の工事の中数件、軽症を負う事故が起こり予定の期間の倍を費やし、ようやく橋は出来、村を繋ぐ道路が完成した。

 

 多くの人々がこの道路を使い、村を行き来していたが、ある者が車で橋を走行中、すごい数の蝿に襲われた。

 

 幸い事故には至らなかったが、道路を管理している会社に蝿のことを届けたところ、駆除業者が橋を見に行った。


 橋の上にはそれほどいなかったのだが、その下には大量に発生していた。本来、全てが沼であった橋の真下に地面が出てきており、そこの一部に集っていた。


 そこの中心には死体が流れついていた。下見の際、行方不明になった作業員とみられている。

 

 その後、橋の上で幽霊を見た、道路から泥が湧いていた、沼から誰かが手を振っていたなど噂が耐えなかった。

 

 数年をかけ、噂が少なくなっていった頃、二体の死体があがった。

 

 この出来事から、橋を使う人が減っていった。使う人が少なくなっているにもかかわらず、事故は増えていった。

 

 これを受けて管理者が市などと話し合い、この道路は封鎖されることになり、立ち入り禁止となった。


 車が入れないようにテープがつけられたが、迷い込む車や人が少なくなかった。半分以上の人が迷いそのまま亡くなるという出来事が後を絶たなかった。


 戻って来られた人は、テープなんかはなく普通に車も通っていて夜でも街灯がついていて明るかったと証言している。


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