第13話『クラスに一人、変なあだ名のやつが絶対いる法則』

「貴女は何ていう部屋でした?」

「えっと、ぷろきおんって言ってたきがする」

「プロキオン?おんなじ!同じ部屋ですよっ!」


 手をブンブンさせながら言ってくれる。テンション上がった時だけ敬語抜けるのがまた、愛らしい。かわえぇのー。


「えっと、名前聞いてもいい?」ムハムハっ!

「もちろん!私の名は、クリスティーナ・ゾンネ、ティナと呼ぶことを許しますよ」


 ん?なんか地味に毒入ってるきがするけど、まぁ、いっか。愛称っていいね。可愛い。

 てか、この子良く見たら出てたよ、ゲームに。なんかイラストと3次元が一致しなかったけど。相部屋のティナちゃんだ。確か闇魔法を……いや、やめよう。あんまり鮮明に思い出しちゃったらこのゲームが面白く無くなっちゃう。


「ティナちゃん。だね!よろしく!えっと、私の名___

「貴女の名前を知らない人はこの学園にいませんよ」

「……へっ?」

「キーラ・グレイアム。自分を装飾するしか芸がない女共だって知ってますよ」

「へっ、へぇぇ!有名なんだ私っ!嬉しいなー」


 なんか、この子結構毒強いぞ。狙って言ってる感じはしないから多分、無自覚何だろうな。

毒牙にかからないよう気をつけなきゃだ。


「えぇ、有名ですよ。主に悪い意味で」


 えぇ!悪い意味でぇ!マジかよ。まだ喋ったこともない人からも嫌てるかもってことだよね。これから。

うわぁー、今から憂鬱だわ。……まぁ、今更か。


「貴族の恥晒し、学園唯一の汚点、田舎臭い、痴女、オネダリしか芸のない女、、とか色々好きな様に呼ばれていますわ」

「へっ、へぇぇ!そうなんだ!凄い罵倒されてるね!見事に全部悪い意味だ」

「まぁ、仕方がないですわ。その1週間着続けたシャツの様な姿では」


「……うっ、ウン。これは全部あのオッサンのせい」

「何を言っているのですか?その姿をしているのは貴女でしょう?」


 ぬぐぐ、言い返せん。まったく持ってその通り。これ以上喋らないようにしよう。

 そっ、そういえば、弁当初日にチーカマを食ってただけで、その後3年間 チーカマと呼ばれた奴いたな。それに比べればまだまだ意味あって良いかも。ウン。そうだ!

これぞポジティブ思考!思考逃避じゃないよ?


「荷物が運ばれてるみたいですわ。ぼさっとしていないで、早く行きましょ」


 あっ、はい。……確か、ゲームのデザイン見た感じ結構広めの部屋だったような。あー!また内容無意識に思い出してるっ!ダメだダメだ。


「……なんで自分を自分で殴っているのですか?まるで自分行きたい場所の間にガラスがあるのに気が付かないでぶつかり続けるハエのようですよ?」


 ……つまり馬鹿みたいだからやめろって言いたいんだよね。なんか、ごめんなさい。


「しょんぼりしてないで、早く行きましょっ!」


 はぁ。無自覚ってこんなにグッサリ来るものなのね。もはや悟り開けそう。

 そんな、私の気持ちを感じるはずも無く、そもそも考えるはずもなく。ティナちゃんはいそいそと私の手を引っ張り、歩き出した。


 カチャン。


 ん?何の音だろう?まっ、いっか。

 てか、ティナちゃん力結構強いな。ドレスの裾引きちぎれそう。


「そこの貴女!髪飾りを落としましたよ」

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