第4話『~赤髪に青顔。見た目が鮮やかなオッサンとコミュニケーションが取れない。』
誰だろう?
2回しか叩かないんだからおトイレと勘違いした訳じゃぁないよね。
「はぁい?」
「馬車を操縦していました、エドワーズでございます」
……いや、どなただよ。
馬車ってなんだよ。ちょっと意味がわからないよ?ウン。どゆこと?誰か解説プリーズ。取り敢えずこの人は誰だ。
「どなたですか?」
「…?エドワーズでございます」
ウン。それは知ってる。
コレは私の聞き方が悪かったんだ。
てか、この人誰だよ。エドワーズさんだよ。馬車操縦してた人だって!ウン!誰だよっ!?もう、意味わかんないよっ!!
「と、取り敢えず、中へどうぞ?」
「はい、失礼します」
そう言っておずおずと入ってきたのは結構ダンディーな赤髪のオッサンだった。しかしその顔は蒼白く、汗がダラダラと垂れていてとても見れたもんじゃない。なんかちょっと可哀想だな。なんかあったのかな?
「あの、大丈__
「この度は誠に申し訳ございませんでしたっ!」
ッ!そんな勢いよく言われるとビックリするわっ!しかも、そんな響く声で言わないでよ。全くもう。そもそも急に謝られても何をされたかわかんないよ。
「えと、いった__
「お詫びとしてこの宿代をお払い致します!出来ることであれば何でも致します。どうか、どうか、この馬畜生めをお許しください」
と、赤髪に青白い顔という何とも目に鮮やかな色合いのオッサンは頭を下げた。ジャパニーズ土下座である。
本当に、何をしたんだよあんた。なんかそこまで必死になるとこっちまで不安になってくるよ。そして、さりげなく私のセリフ消すなよ。こんな可愛い声をかき消すとかお前何様だよ。
「と、取り敢えず頭を上げてください。私は大丈夫ですから」全然大丈夫じゃないけどね。
「しかしっ!!」
「私はもう何とも思っていませから、どうか」なんとも思ってないどころか、何が起こったかすらわかってないけどね。
わざわざ布団から出て、肩を叩くと、ようやくそのオッサンは顔をあげた。
「もう、謝らないでください」結構恥ずかしいので
「ゆっ、許して下さるのですか?!」
「何を言っているのですか許しますよ」何をだろう?
「だから、私にどうかこの状況を解__
「なんて、慈悲深き貴族様だぁ!!」
「だから、その代わ___
「ありがとうございます、本当にありがとうございます。この御恩は忘れません。何かあったら私にお申し付け下さい。貴女のためなら惜しみなく力をお貸ししますっ!」
「だから、その力を__
「では、私は馬の手入れをして参ります。明日は9時にお迎えに上がります。良い夢をっ!!」
そう言うだけ言ってドカドカと部屋を出ていってしまった。もう、オッサン何なんだよ。いったい何がしたかったんだよ。何でもお申し付けください?私にこの状況を解説してよっ!
意味わかんないよ。何が良い夢をだ!
「もう、本当何なの!」
怒り任せに立ち上がる。しゃがんでた為クラァっとなるが気にしない。
……気にしてなんかいられない。だんだん顔の血が抜けていくのを感じる。
鏡に映る込んだ自分の顔。
それが面白い程に白くなっていく様子をじっくりと眺めることしか出来なかった。
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