第3話 『自分の声が可愛すぎてしんどい』
初めに目に入ったのは、布団の上に転がる白い物体X(仮定)だった。
「うひゃっ?!」
思わず悲鳴を出しつつよくよく見てみると、なんてことは無い、ダダの自分の手だった。
…………………………………あれ?違和感。
なんだろうこの感じ。
おかしい。もう1度じっくりその手をながめる。それは1度日に当てようものなら真っ黒に焦げてしまいそうな程に白く、そこから生える指は傷1つ無く、……傷一つなく?
……あっ、これ私の手じゃないのか。
親指と人差し指に何でゲームダコが無いのかなぁーっ思ったら、そゆことね、そりゃ違和感あるはずだよね、自分の手じゃないんだもん。ウンウン。
いやいや、ちょっと待て。ウンウンじゃないよ!
……じゃあ、これは誰の手?!
あっ、動いた。そりゃ動くか、自分の手だもん。いや、自分の手じゃないけど。まぁ、よくわかんないし、取り敢えず起き上がってみるか。
「よっこい正一郎、とっ」
……ううん?
なにこの小鳥が囀るような可愛らしい声?!
誰の声?
えっ? 可愛い。言ってる事オッサン臭いけど。
「てか、誰の声?」
うわぁぁぁ。これ、もしかしてもしかしなくても、私の声?!
いやいや、こんな保護欲を掻き立てるような愛らしい声は断じて私の声じゃないよ。いや、私の口から出てるから私の声か?
……それにしては何処かで聞いたことがあるような、無いような?でも、こんな可愛らしい声1回聞いたら忘れるはずないし、ウン。転地天命に誓って聞いたこと無いな。
それは、布団の上で自分の声に自分が悶えるという珍しい体験をしていた時だった。
コン、コンとドアを叩く音が響いたのは。
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