第2話『まぁ、死んでしまいました』
雲ひとつない晴天の空の下。ガタゴトとゆるやかな音を立てながら走る馬車。その揺れに身を任せながら私はこの身から溢れ出てくる抑えきれないワクワクをもて遊んでいた。
何を隠そう、私の名前はキーラ・グレイアム、16才。平民の身ではあるけれども、魔法の才を国王様に見初められ、貴族だけが通えるとされる世界の中でも最大級の超ハイスペック学園、「ジーニャス魔法学園」に入学出来ることとなったのだ。
この学園は、その高い学力はもちろんの事、魔法について高いレベルの実践を受けることができ、数多の戦場で活躍する人材を育む。この国の重鎮はもちろんこの学園の卒業生から成り立っている。つまり、この学園は未来の国を創っていく子供達の社交の場でもある。この学園に通うこと自体が最高の誉ほまれなのだ。
そんな学園に平民である私が入学出来るなんて。夢みたいだ。どんな生活が待ってるいるのだろう?きっと美しい貴族様が沢山いるんだろうなぁ。美味しい食べ物とかも沢山あって、、、あぁっ、もう楽しみすぎる。友達とか沢山出来るかな?知らない人ばっかだから気合い入れないと。一緒にお菓子とか食べたいなぁ、お話もっ、貴族様だからきっと凄いお話ばっかりなんだろうなぁ、あっ、でもちゃんと勉強もしないとだよね。特待生としての特別だからちゃんとやんないと辞めさせられちゃうかもだし。大丈夫かな、貴族様方と違って私教養ないだろうし、一応貰った教科書は必死に覚えたんだけど、あぁ、不安だっ!!でも、私のがジーニャス魔法学園の生徒。うふふ、ほんっと楽しみだなぁ~。
そう、だから私は気づかなかったんだ。馬車のドアが少し開いていたことに。感じるべきだったんだ。やけに風が強いことに。呑気にドアにもたれ掛かってニヤニヤしてちゃいけなかったんだ。
満を持してそれは起こった。
最初はゴトンッという小さな衝撃だった。その衝撃で寄り掛かっていたドアがあいた。そこに強い風が吹いた。急なことだったため、特に面白い反応をする間も無く私は放りだされた。
ゆるやかながらも確かに走っている馬車の中から。あえて楽しく言うのならポーんっと浮遊し、地面に向かって落ちはじめた。
ドシャッという音を最後に私の意識はフェードアウト。
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