イケメン嫌いのゲム女がおくる〜鬼畜乙女ゲーム攻略〜
鬼畜じゃのうて
第1話 『ゲームは小まめにセーブしましょう』
プレイ中のゲーム画面だけがチカチカと光る薄暗い部屋の中。カチカチとボタン連打の音が鳴るだけだった所に突如彼女の声が響いた。
「うひょ、ザマァ!イケメンだからって私が快くその誘いに乗ると思ったか!あははっ、その美しい顔を屈辱に染めろっ!そしてその屈辱を胸に死に逝くのだ。あぁ、このゲーム最高」
そう叫ぶ彼女の名前は、佐々木ヒナタ、16才。自称ゲーマー。無事高校に受かり、幸せいっぱいのゴールデンウィークを満喫中である。入学祝いで貰ったお金全てを大好きなゲームに注ぎ込み、睡眠時間を3日に7時間とギリギリまで削りこんだ結果。深夜の謎のハイテンションキチガイ、このゲーム女子、略してゲム女、ヒナタが母親を泣かせていた。つまり、私のことである。
はぁ、このゲーム面白すぎ。悪魔を銃で撃つっていうこの爽快感さいこ~。リアリティもちゃんと追求してるから、血の表現とか、撃った時の衝撃とかも有るし。この会社本当尊敬するわ。そう思いながらバンバンと、この世のものとは思えない異形の悪魔達を撃ち抜く。
時は深夜2時。もちろん良い子はお寝んねの時間である。と、言うか大体の大人も寝ているんじゃないだろうか?ズキズキとほのかに疼く頭を押さえながら思うことは1つ。
「あぁ、お腹すいたなぁ」
うん。お腹すいた。てか、昼飯食ってないや。あれ?昼飯だっけ?夕飯か。時間感覚おかしくなってるなぁ。とりま、セーブか。……セーブセーブ、よしオッケー。いざ、台所へレッツラゴー。私はふらふらと階段を降りた。
「あー、お菓子もう無いじゃん」
なんだよ、お菓子無いじゃん。カップラーメンしか無いじゃん。食べれないじゃん。どうすんだよ。カップラーメン3分かかるし。3分って結構長いよな。お腹すいた。ちく輪食べたい。とにかく、ちく輪食べたい。
「しょうがない。コンビニ行くか」
そうズキズキどころかガンガン痛みはじめた頭を持ち上げつつ、私外に出た。財布も持たないまま。
コンビニに行くよりも、カップラーメンを大人しく作った方が遥かに早く空腹を満たせることに気づけないぐらいに私はきっと疲れていた。
だから気にしなかったんだ。何故か、夜だけではなく昼間もついている、家の前の街灯が付いていないことに。だから感じなかったんだ。闇からトラックが止まること無く滑るように私に向かって来ていることを。呑気に
満を持してそれは起こった。
何の疑問も持つことなく私は道路に出た。そこに速度を落とさないままのトラックが走った。急なことだったため、特に面白い反応をする間も無く私は引かれた。
あえて面白く言うのならポーんっと浮遊し、地面に向かって落ちはじめた。
ドシャッという音を最後に私の意識はフェードアウト。
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