第9話事件の詳細は

事件の詳細を話そうか――


僕は、泣きじゃくる白木美鈴を寝室へと運んでから、由香の部屋を尋ねた。由香はワイングラスを揺らしたまま言う。


「君は惚れているのか?」

「誰、にです?」


僕は小首を傾げた。


「まあいい。事件の詳細だが、守氏は寝室で刃物で刺され死んでいた。白木美鈴の悲鳴を聞いて、あたしと君は守氏の部屋へと駆けつけた」


僕は頷く。


「そうですね」


「守氏の部屋には鍵がかかっていたらしい。鍵は美鈴が持っていた。つまり犯行当時はあの部屋には鍵が掛けられていたのだ。つまり」


――密室殺人だということだ。


僕は喉を鳴らした。


「犯人は誰ですか?」


僕は由香へと言った。

しかし、由香は首を振る。


「判らない。でも犯人はこの中にいる誰かだ?」


「犯人は美鈴ちゃんはないです」


「なぜだ?」


由香は不思議そうに首を傾げた。


「美鈴ちゃんはオッパイ大きいし、幼なじみですし、可愛いし」


「君――セクハラだぞ」


「すみません」


僕は謝った。


「まあいい。美鈴を疑いたくない君の気持ちは分かった。犯人は美鈴を除く誰かと言う事に――」


僕は言った。


「黒川先輩もないです」


「なぜだ?」


「オッパイ大きいし、可愛いし、清楚だし……」


「君、セクハラだぞ」


「す、すみません」


「まあいい。なら美鈴と黒川を除く誰かと言うことだな」


由香は呆れたように言った。


「はい、そうですね」

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