前のエピソード――第30話：婚活パーティと就職口の増加作戦（202604－202606）

　学習塾と、パソコン・ソフトウェア塾は、学校跡の改修のオフィスから、駅前のデパート跡のビルに移り以前通り営業していた。学習塾の方は郊外の方からワゴン車に相乗りしたりして、通ってくれる人が多く、受験の実績も年々、TR医学部や広島、岡山、関西、関東の大学への合格者が出て、入学希望者が増えている状況。最近、大手の進学塾の授業をネット配信サービスの売り込みが来て、現在検討していた。

　学習塾は生徒だけでなく授業をしてくれる先生にも好評だった。近くのTR医学部の大学生や大学生、また高校入試には、YG高専の学生に評判が良かった。教え方の上手な優しい先生には個別指導を希望し家庭教師の要請も増えてきているのが現状。合格実績が、即、塾の好評価につながっている。パソコン塾の方は中高年のパソコン基礎講座、主要なソフトウェアの使い方教室、スマフォの上手な利用などが好評で、塾生の人数も増加の一途となっている。その他１０人程度でスカイプを使った、自宅でできる教室も、週３回、実施し、更に、塾生が最近増加した。

　パソコン塾もレンタルオフィスの若いソフトウェア技術者の副業として喜ばれていた。またYG工専を始め工業高校生の中で特に優秀な生徒は市内のソフトウェア企業に就職する者も既に２５人も出た。YG工専、その他の工業高校のパソコン、ソフトウェア関連のクラブ活動に地元のソフトウェア企業の若者が指導しているケースもある。その他、中高年、主婦にパソコンの入力のアルバイト委託するレンタルオフィスも出てきて、双方にとってメリットがある様だ。

　道の駅では２年前から道の駅の営業だけに留まらず商品を家庭に宅配するサービスも好評を得てバイクや軽自動車で自宅に配達も盛んに行われるようになった。ビザ、お弁当も近所で５つ以上の注文で届けた。第一道の駅で、既に年間、純利益が５千万円を越え、第二道の駅、バーベキューを加えると、純利益で８千円と大きな収益源。

　更にレンタルオフィスの賃料収入も合わせると３億円の利益。

　２０２７年の３月、信金の山辺さんから電話がはいり、話したいことがあるからと、ＹＧ駅近くの喫茶店に呼び出された。信金の山辺さんが、海津さん大活躍で地元でも有名になっていますが、１つ大事な忠告がありますので、お呼びしましたと言った。そこで用件を聞くと山陰創造社の事が心配で決算書をみたのですが、最近の出費が多く、収益が減ってきて、単年度の利益が減っています。多分、町長から、あれしろ、これしろと依頼が多いのだと思いますが、あまり調子に乗って事業を拡大していくと破産しますよと単刀直入に言われた。市長もずーと市長でいられるわけではないし退職した後、もし市役所との関係を切られたら単独でやっていけませんよ。市からの借入金も多いですね。今の市長は大目にみているが、交代すれば、問題になるかも知れない、その時には、責任を押しつけられ、左翼系の市議会議員達が、責任追及をして来ますよ。そうなれば、海津さんのやってきた、事業も危うくなりますよと忠告してくれた。

　信金の山辺も実は地元出身ではなく横浜出身で奥さんの実家がここなので、この信金に就職したんですと言った。だから地元の人の良い所、悪い所を嫌と言うほど見てきたんです。地元の人は、よそ者に冷たい。使える時はもてはやすが、駄目になって使えなくなると思うと反目してくるんです。だから海津さんの会社も事業拡大から、縮小の方に舵を取っていくべきだと言った。なんで山辺さんが私にそんな忠告をするんですかと尋ねると、今までも、そう言う人を見てきたからですと答えた。

　山辺さんが、更に海津さん地元に対する情熱、過疎化への対策の新事業に孤軍奮闘している姿を見ていると、あなたがひどい目に遭うのをみたくないんです。だから、忠告した訳ですと言った。海津は、「思わず、山辺さんの手を握り、ありがとう、本当にありがとうと言って、堅い握手を交わした」。早速、帰って、会社の事業縮小のプランを考えてみますと答え別れた。山辺さんに市からの借入金を返した方が良いと言われた事は納得できたので、翌日、早速、銀行へ行き、市からの借入金を全額返済した。