第24話:老舗デパートの倒産(202406-202410)

 この地区の一番の高級デパートが経営不振で閉鎖された。その跡地の処理を役場から創造社に電話かかかってきた。そこで、海津は、レンタルオフィスの40社をこのビルに移動させる案が出た。その他、学習塾とコンピュータ塾も入居させる案などを考え、移住者や若者のサロンと喫茶店、地産地消の喫茶店、レストラン、地ビールの店と入居させる事を考えた。空いたレンタルオフィスは格安のシェアハウス、中長期のゲストハウスとして使う事を考えた。市長からは駅前のデパート跡地を何とかして残して再利用してもらいと言われた。


 池田建設の池田社長と電話で話したところ、直接会って相談することにした。その前に池田建設の山川部長と共にデパート跡のビルであって改修費用と工事期間や問題点を捜すことにした。1時間後デパートで会い、7階建ての大きなデパートを見て回った。山川さんがレストランを入れるなら水回りの改修が必要だと言った。次に多くの区割りで小さな部屋として使う場合、窓側の方にばかりに部屋ができて、中心部を教室形式で使うとしたら、トイレの数が少なすぎるので改修費用がかかる。その他、30年以上たっているので耐震工事をしっかりさせなければならず改修費用は億を超える金額になると言った。


 直近の問題は、

1:水道の問題、、2:トイレの数を増やす。3:内側の部屋の照明問題。

4:デパートの耐震設備の状況。


山川部長がビルの図面のコピーを取って、そこに手書きで部屋の区割りを書き込んでくれた。レンタルオフィスを町中の駅前の一等地に移転する問題についてレンタル・オフィスの責任者会議を開いて討議した。まずお風呂がなくなる事、多少、手狭になる事がディメリットで、メリットは見晴らしが良くなり、とにかく便利になる事を話した。その後の会議で料金が同じなら、了解すると言う事で決定した。その他、漁協が2階に入る事、1階を市役所の分庁舎として使うことなどが決まった。


 最上階の7階にレストラン、喫茶店、地ビールの店の入居をお願いした。これで、6階の市民のためのレンタルルームと小劇場を随時、利用受付をする事にした。

 敷地1350m2の7階建て(延べ床9448m2)縦36m*横36m

1階を市役所分庁舎、市長室、応接室、2階を農協、漁協、山陰創造社

3階をレンタルオフィスA,4階をレンタルオフィスB、5階を進学、パソコン塾、

6階をレンタルルームと小劇場、催事場、7階を地場レンストランと地ビール、喫茶店という計画で行く事にした。


 後日、山川部長が詳細にビルの調査をすると耐震工事は既に行われている事が判明した。トイレは各階に2ケ所あり、改修費用は、それ程かからない事や建物自体は、デパートが市に寄付する事で決着していた。内装工事、間仕切り、トイレ改修などで5千万円で改修工事可能とわかった。それを市長に報告すると早急に改修工事に取りかかって欲しいと言う事となった。ただレンタルオフィスの移動費用が100万円かかるとわかった。地場の野菜、魚、肉、を使ったレストラン、喫茶店、地ビールの店の機材の費用など1000万円を地元の信金と銀行に借り入れること決まった。すぐに工事にかかり、4週間後に完成して営業開始した。市内でも大々的に宣伝したせいか、営業初日の4月1日は行列ができた。


 利用者にはアンケートに答えてもらった。良い点、改善すべき点。値段は割安、割高、待ち時間、味、再度来店するか? アンケートの結果によると、今までない店で良かった。雰囲気は良い。改善点は注文して料理が出てくるのに時間がかかり店員の応対がぎこちない。料理に対しての満足度は概ね良好だった。1週間が過ぎ700万円の売上だった。1ヶ月で2000万円と最高のスタートだったと言える。1ケ月後に職員の会議で、レストランのランチ、ディナーメニュー、季節メニューの話や、ビールも5種類だけでなくビールに果汁を入れたり、カクテル系もメニューに入れても良いし、さらにノンアルコールでカクテル風の飲み物、炭酸系の飲み物を増やした方が売上増につながると指摘されレストランでコーヒー、紅茶、昆布茶、お茶なども提案された。来週から、この提案をサイドメニューに取り入れることとなった。


 また、広告宣伝のポスターを駅や信金、役場に貼る事にした。春が来て、外にも、テーブルを置くことにした。レンタルオフィスの方々の持ち帰りが増えてきて土日は一般のお客さんが多く職員はかなり忙しく働いた。また地元のレストランの方がボランティアで接客の仕方も女性職員に教えてくれ、彼女たちの仕事も板についてきた。

 また職員の親類縁者にも協力してもらい。順調に売上を維持した。翌月、翌々月も2000万円をキープして、黒字で終えることができた。創造社の納涼会もここで、行い、農協、役場の祝賀会も優先的に、ここで行う様にしてレストラン、地ビールを地元で支えていった。地ビールの生産を増やして、お持ち帰り容器も買い出しできるようにして、フル操業に近いほど稼働していた。


また、地ビールは好評で、製造装置と従業員を増やす計画を立てていた。6月中に機械と従業員3名増員できた。7月以降の夏場に向けて生ビール用の大型容器入りの製品も用意する事にしたのだった。これが当たり、7月以降は以前の3倍以上の売上となった。特に持ち帰りの大容量サイズが好調だった。それに連れてビールのつまみ、チーズ、ビーフジャーキー、柿の種、焼き鳥、唐揚げも、売上を稼いだ。その他、ビールとビーフステーキのセットも大好評だった。


 近くの牧場で牛肉、養鶏場で卵、鶏肉、漁協から魚を買い入れて、地産地消の推進

を図ったのがコスト削減や地元の評判を上げる要因で、地元のテレビ局や新聞にも、取り上げられ、レストランもビアホールもフル操業の日々続いた。フル操業のために移住者の合計15人が従業員として雇った。起業コンテスト銅賞の保育園付きのテレホンセンターについて発案者の加藤和美さんにレンタルオフィスの宮城さんと海津で、再度、話を聞き、手伝えることなどを話し合うことにした。


 宮城さんのオフィスを訪ね、話を聞くとアイディアは良いのだが、保育園と保育士さんをどうするか手の空いてる人が複数の子供をみれるのか、また専門保育士を雇う賃金の支払いはコストが見合うのかなどが問題となると言った。都会で成功しているのは大企業が人手不足のため、働けない有能な女性の受け皿として、保育園を完備して支払う給料の時給1000円から保育料の時給300円を差し引いて時給700円と同じ事になるという考えなのだろうと指摘した。


 対策は、3つ、

1:スポンサーになってくれる企業を探すこと。

2:地方に、それ程の数の子育て中の有能なママがいるだろうか?

3:地方に、そのニーズがあるだろうか?

 再度、検討した方が良いだろうと言うことになった。宮城さんは、むしろ24時間体制でテレホンセンターをつくって移住してきた若者が働ける場の提供の方が有意義かも知れないと言った。こういうセンターは時給が安く人口の多い沖縄などに多いと教えた。海津が24時間体制のテレホンセンター構想、面白いと考えた。つまりレンタルオフィスの事務所と隣の部屋の二段ベッドのアパートが最適じゃないかとひらめいた。

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