第5話:売り場拡張工事(201911-202003)

 その後、山田さんが海津を家まで送ってくれた。2週間後、臨時の会議が招集され、秋からの果物、米の販売の打ち合わせをした。リンゴ・ジョナゴールドが9月中旬から10月中旬、王林・ふじは10月下旬から11月中旬、その後、イチゴが翌年の5月下旬まで続く。リンゴはジュース、ジャムとして販売。その後イチゴが続く。


 ジュース・ジャムは、専門業者に依頼して製造してもらう事にし、米とお餅は農協からあらかじめ決めた量を運んでもらうことにした。包装は2k、5k、30kで、30kは5袋だけ在庫して、一週間後に、残った商品を5k袋に詰め替えて販売することにした。


 お餅は、磯辺焼きや、おしるこ、お雑煮を販売していくと決めた。全商品は試供品を切らさずに提供する様にした。餅つき器、炊飯器、ジャーも用意して発泡スチロールの小さな皿もしっかり在庫して置く事を確認し合った。その他、もち米とパックつめのお餅も業者に委託製造してもらい販売していった。


 売りたい商品の大きな写真看板を作り国道からはっきりと見える様にした。翌週からこの計画が動き出したが土日の混雑にスタッフの数が足りず、お客さんを待たせるケースが見られた。11月になると農家も暇になるのでアルバイトの人数も増やせる様だ。土日祭日は、平日の2倍の人数が必要となり、駐車場の管理スタッフも置かな

いと駐車できない車が多くなったようだ。


 売上金額を最高金額を更新しても現状のシステムと人数では頭打ちになりそうだ。

 道の反対側も整備して駐車場にしていくべきだと海津は、山田さんに進言した。

 そして道の駅の近くの駐車場にテーブルを置き蕎麦、お餅料理、果物、ジュース、

食事スペースにすれば更に売上増加が期待できる。お客さんが減る冬場に駐車場拡張工事を計画すると山田さんから連絡があった。


 ただ道の駅の規模拡大で更に最低10人の人員が必要となった。役場の臨時職員として中高年の方にも働いてもらう様に話して回ると山田さんが話していた。11月になり、お客さんの数が減ってきたので駐車場の整備工事が始まった。工事期間は5日間。10月の最終売上金額で3500万円強の売上と過去最高金額をたたき出した。


 駐車場拡幅工事後、来年は6千万円突破を目標としていく事が決まった。翌月から駐車場の拡幅工事が始まった。始まってみると道の駅の営業に、それ程影響がなく、ひと安心した。今年の冬から朝とれた魚で売り物にならない魚を優先的に購入する事が役場と漁協の間で決定した。その魚のあら汁と豚汁が飛ぶように売れ出した。


 国道沿いの看板の効果もあり客数が昨年の5割アップで寒くなっても、職員達は

忙しく働いていた。工事終了の翌日の月曜日に道の近くの駐車場に肉と魚をグリルを備えた青空食堂を始め、商品の陳列棚も増やした。天気の良い日は食堂も土日中心に行列ができる日も出てきた。工事後の売上も目標以上の金額をだった。その後も海津と奥さんが週3日づつ交代で勤務する事が了解された。この年は海津も満足できる道の駅の改善と事業拡大がうまくいった年だった。


 2020年が明けると山陰特有の雪と荒れ模様の日が続いた。これは想定内の範囲であり晴れた日の土日祭日の晴れた日は道の駅の肉、魚のバーベキューが人気を呼んで食堂に列の日が出る日々も多かった。2月になりバーベキューの火の周りに多くのお客が暖をとりながら海鮮、豚汁をふーふー言いながら食べていた。お客の数に比例して冬ネギや、お米、野菜も売れ行き好調。2020年3月になり晴れの日が多くなると共に売上も上がってきた。

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