第2話:移住への誘い(201901-201908) 

 電話で農家民宿のご主人と連絡を取り合って書類提出を終え、お願いしていた、3DKの公営住宅も見つかったと連絡が入った。4月に移住地である山陰の港の過疎の町についた。近所の3件の公営住宅の家に挨拶し、ちょっと離れた農家の吉田さんの家に挨拶に行った。そこでは老夫婦、吉田輝男さんと幸子さんが出てきて久しぶりに、こんな可愛い子供達を見たよと、目を細めて喜んでくれた。


 その後、役所に行き挨拶と簡単な面接をうけた。担当者から運転手の件で運転手として、月10万円の給与を支払うと言った。週に3回、スーパーと病院に午前と午後で計4往復の仕事。その他に、春と秋、慰安旅行の運転手もやってもらうと言った。

 農家民宿のご主人にも挨拶しに言った。その時に、ご主人から仕事の事を言われ、パートだけれど港の漁協の魚の運搬作業で、平日、毎朝5時から1時間、1日1時間・時給2千円、月に20日で4万円で働かないかと言った。


 奥さんには介護施設で正社員で15万円/月、パートなら夜勤時給1000円、

昼間なら600円と言われた。お礼を言って、少し落ち着いてから仕事の事を考えると答えた。翌日、海津夫婦は一郎が運転手の仕事をする事にし、役場に行って、手続きを取った。車は9人乗りワゴン。月に10万円、月、水、金の週3回の午前8時、出発で11時頃に戻り、午後3時出発し午後5時頃に戻ると教えられた。

 奥さんは介護施設の見習いを始めて最初は昼間のパートから始める事にした。 


 保育園は家から車で5分の所にあり送迎バス付きで朝8時から夕方5時まで、預かってくれる。翌週の月曜日、一郎は、試験的に、他の運転手の仕事を見学に、役場のワゴンに乗った。特に、決められた停留所というのではなく、決められた道を走り、手を上げた町民を見たら停車して乗せていく方式だった。ただし、行き帰りの道は、

決められていたので、町民は、家から、その道まで出てくる。送り先はKS病院、2つのスーパマーケット、KS駅へ行き、帰りは運転手一人で帰るというものだった。

そして、クリアホルダーに入った地図のコピーをもらった。帰りは運転手さんに一郎の家まで送ってもらった。その後、女房と昼食をとった。


 午後になり午後3時は運転手を交代して1人で出発し、7人を乗せて戻ってきた。

 乗客は全員高齢者で、年に数回、花見とか日帰り旅行も企画されるそうだ。運転手は3人いて月水金、火土、木日で毎日運行している。最後は役場に車を戻し、家まで送ってもらう。距離は短く速度もゆっくりで、事故にさえ気をつけていれば難しくなかった。買い物と病院と電車の駅へ行くのが多い。月曜日に実際に1人で送迎をしてみると、それ程、難しいものではなかった。


 翌日朝5時に港の魚市場に出かけてみた。5時半には、競りが終わり、残った小魚がビニールに入って無造作においてありビニール袋に値段が書いてあった。小アジが10匹で100円と傷の付いたタコとイカが100円でビニール袋に入っていたので購入した。確かに安い。


 地元の漁師が金目鯛やイナダ、鰹などの傷ついて出荷できないものを買うせいか、大型の魚は、ほとんど売れて残っていなかった。それでも300円でこんなに多くの魚が買えるのは驚きだ。今日食べるもの以外は冷凍しておこう。すぐに帰り鰺の南蛮揚げと、タコ、イカの刺身をつくった。たこ、イカの残りは冷凍して揚げ物、焼き物で食べることにした。この日の夕食は、タコ、イカの刺身と鰺の南蛮揚げで、子供達も喜んで食べてくれた。 


 その晩に、隣の吉田さんのおじいちゃんが突然訪ねてきて、ねぎ、大根をもってきてくれた。また休みの時に子供さんも連れて遊びに来て下さいねと笑いながら言ってくれた。そこで海津一家はお礼を言った。小さいのにきちんと挨拶できるんだねと

子供達に言ってくれた。その時、海津一郎が、もし何かあったら、すぐ連絡下さい。

 出来るだけ協力しますからと言った。おじいさんは頼もしいお隣さんが来てくれてうれしいよと言ってくれた。 


 翌日、役所の山田公夫さんから電話で移住後、問題ないか連絡してきた。特に問題ないと伝えると良かったと言い、また、お暇な時にお伺いしたいので、空いてる時間を聞いてきた、明晩の夜6時なら大丈夫と伝えて会うことにした。今日も、子供達を送り出して送迎の仕事に出かけた。特に問題なく仕事を終え帰宅。奥さんが子供達を風呂に入れ終わった頃、役場の山田さんが手土産持参で訪ねてきた。


 話を聞くと、昨年、道の駅を開設して、特産物を販売し始めたが3ヶ月を過ぎる頃

から、お客さんの数の減少と共に売上金額も減ってきたと話した。いろいろ対策を考えて実行したがうまくいかず苦戦している様だ。そこで海津さんが車の敏腕セールスだったと聞いて良いアイディアを出してくれるように頼みに来たと言った。


 職場の臨時職員として送迎が週3日で、その合間に活動して欲しいと言った。特に役場にいつもいる必要はなく道の駅の販売促進の対策を考えて欲しいと言われた。 

 成果が上がれば、給料は10万円、送迎を会わせて20万円を支払うと言った。

更に、道の駅の売上次第では、給料アップも考えるという条件だった。


 それに対して地域のためなら協力をしますと答えた。道の駅の現状と問題点の資料を持参したので読んで欲しいと書類を渡された。一週間後に、また訪問して良いですかと山田さんが言うので了解した。夕食後、海津は奥さんと道の駅の話をしたところ協力して上げたらと言い、もし月20万円もらえたら助かるわと喜んでいた。


 翌週の晩に、山田さんが来て海津は売り方をもっと工夫した方が良いと提案して、実演販売みたいに話しながら、その商品のサンプルを自由に試せる様にすると、売上増につながること。また、米は炊きあげたばかりのサンプルとして置くこと。そして、出来るだけ多くの種類の商品を試せる様にすべきだと言った。


 また商品によっては工夫した食べ方、料理方法などを具体的に提案してあげるんですと教えた。早速、今週の火曜日に山田さんと共に道の駅に行って、販売員の方に話してと言われ了解した。奥さんも良かったら女性目線で見て改善案など出して欲しいので良かったら来てと言われた。奥さんも興味がある様で出かける事にした。

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