悪魔の兵器
「オスカー!俺たちはまずどこに向かえばいいんだ!」
「目標ポイントをデータで移送した!レーダーを確認してくれ!」
「了解だ!」
俺たちのレーダーに指定されたのはアポロとスカイラブ、二つの都市のちょうど中間地点だ。だがスカイラブの上空に到着したところで俺たちは息を飲んだ。かなりの量の
「これって……!!」
都市の上空は弾丸やミサイルでも貫けないほどの窓が覆っている。それを貫いて行ったというのか……幸い自動遮断システムが作動したおかげで今は穴は塞がっているが、それでも数えきれないほどの被害が起きている。
「ふざけやがって……行くぞエマ!」
「ええ……絶対許さない……!!」
恐らく
「見つけた!エマ、正面にいるぞ!」
「見えてるわ!……ちょっと待って、もう一つ反応!これって……!」
エマの言うもう一つの反応。アイツだ……かつて刃を交えたとはいえ今は目的は同じなはず。俺は信じるぞ!
「アイキ・ノヴァク!?」
「やっぱりお前だったか、アルフレッド!」
オレンジ色の装甲板を纏い、その手に握られているのは身の丈ほどの大きさの
「どうして君たちが……いや、追ってきたのか」
「そういうことだ、今はお互い争ってる場合じゃない!行くぞ!」
もう一度突撃をかけようと構えた時、異変に気付いた。俺の一撃は敵の左足を、アルフレッドの一撃は右腕に直撃を与えたはずだった。しかしその跡は既に修復されていた。
「どういうことだ、スーツ本体ならまだしも、装甲板まで修復したのか!?」
「スカイラブで何か情報はつかめていないのか!?」
「鎮圧部隊がほぼ壊滅状態で情報一つ引き出せていないんだ!」
「くっ……自己修復か……そんな事が出来るなんて……」
すると直後に、敵の灰色の頭部は横から飛んできた弾丸の直撃を受け貫かれる。エマのライフルの一撃はどう見ても中の人間ごと殺す一撃だった。だが、その貫通した頭部からは一滴の血すら出てこない。それどころか、その穴も瞬時に修復する。
「人間じゃ……ない!?」
「破壊プログラム……作動……全武装……解除」
「音声……!?」
突然耳に聞こえてきたのは無機質な声。すると灰色のボディがゆっくりと動き出す。右腕には
「攻撃開始……」
「っ、来るぞ!!」
一瞬で加速し、エマの目の前に飛び込んできた
「な、なによこれ!?」
「レーザーだと!?」
振り上げられたナイフは先端から光を放ち刃となる、盾にしていた銃を溶かしながら振り下ろされてくる。エマは銃を捨てて小型銃を二丁構えて連射する。
「あんなもの……もしこの宇宙空間で直撃を受けたら、即死はまぬがれない!」
「だったら全力で
もう一度エマにレーザーソードを振り下ろそうとする敵に後ろから斬りかかる。すると敵は右手に持った銃を肩越しに背面に向けて来た。盾を構えて突撃しようとした瞬間、分厚い盾の中心に一瞬で大穴が開いた。
「銃もレーザーかよ!」
盾を捨てて敵の直上に飛び上がると急降下して斬りかかる。俺の一撃は敵の左腕を肩から叩き斬った。これでレーザーソード使えないはずだ。そう思い、俺がもう一撃を敵に叩き込もうとした瞬間。横からアルフレッドに蹴り飛ばされる。
「な、なにしやがる!?」
「油断するな!よく見ろ!」
見ると俺がさっきまでいた位置に向かって、切り離したはずの左腕が飛んできていた。もしあのままあの場にいたら、背後から刺され、焼かれていた。
「どういうことだ……!?」
ふわふわと浮かんだ腕はそのまま敵の胴体に近付くと、まるで何事も無かったかのように合体し、元の形に戻った。
「切断しても……自動で元に戻るってか……化け物かよ……!」
「アイキ!エマ!聞こえるか!」
通信を介して聞こえてきたのはオスカーの声。だが敵の攻撃を避けながら通信を聞くというのは容易じゃない。
「今そちらに小型艇で追加で武装を運んでいる!それまで持ちこたえろ!」
「わかったからさっさと通信切ってくれ!気が散る!!」
敵は一撃必殺の武器を持っている。こっちの攻撃はいくらしても意味がない。しかも相手はこっちと違って体力に底がない。これじゃどのみちジリ貧だ。
「アイキ!今は持ちこたえるしかないわ!下がって!」
「下がってもコイツからは逃げられねぇだろ!なら前に出るしかない!」
俺の
「早く来い……早く!!」
「来た!アイキ!」
レーダーに小型艇の反応。俺は敵を振り払って小型艇に向かって飛び上がると同時に、敵の目の前で推進剤タンクを切り離し《パージ》して機体を軽くする。
「エマ!タンクを撃て!」
「了解!」
エマは小型艇から受け取ったライフルでタンクを撃ち抜くと、まだまだ中身を残しているタンクは大爆発を起こし、敵は爆炎に包まれる。俺は小型艇にたどり着くと、二つの大型ライフルと取り出し、片方をアルフレッドに投げる。
「使え!一斉に撃ちまくるぞ!」
「待って!爆炎の中心で何か光ってる!」
ライフルを両手で構え、スコープを覗き込むと段々と晴れる爆炎の中に赤く光る何かが見える。爆炎が完全に晴れて見えたのは、全身を修復しながらたたずむ敵の姿。光っていたのは胸の部分にある赤い球状のもの。
「一か八かだ……あれを狙うぞ!」
「わかったわ!」
「当たれぇぇぇぇぇぇ!!」
三人で赤い部分、恐らくだが敵のコアユニットと仮定したそれに数発撃ちこんだところで、赤い球体にヒビが入る。それを確認すると俺とアルフレッドは同時に剣を構え、その懐に飛び込んでいく。敵が向けて来た銃口に向かってエマが弾丸を放ち、レーザーの軌道を逸らす。更に左手のレーザーソードの持ち手にアルフレッドが
「アイキ!」
「今だ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉおお!!」
最大加速で敵の懐に飛び込んでいき、そのままの勢いでノヴァブレードの切っ先をコアユニットに突き刺す。だがまだ浅い。
「加速しろ……もっともっと……速く……速く!!」
俺は生きているスラスターを限界まで噴かしてさらに加速する。スーツはオーバーヒート直前だ、だがまだ足りない……!全身の装甲板を全てパージして軽くすると更に加速する。
「貫けぇぇぇぇぇぇ!!」
次の瞬間、ノヴァブレードはコアユニットに深々と突き刺さり、そして完全に貫通すると同時に、その胴体も一緒に真っ二つに叩き斬る。動きを止めた
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