第3話
マヤはイライラしていた。
おかゆを口に運んでもグチャグチャとなかなか飲み込めなくて異常に時間のかかるバーに。たった1杯の小さなお茶碗のおかゆが中々なくならない。
ドロドロにしたおかずはいったい何なのかわからない。そのドロドロのおかずさえ中々飲み込めない・・・
バーは小さなか細い声で「ちょっと休ませて……」
「ハァ?そんなにノロノロ食べてるのに休むの?もう!さっさと食べてよ!」
「お味噌汁飲ませて…」
「ハイハイ!どうぞ!」
味噌汁はダラダラとこぼれてしまった・・・
「バー!!こぼさずに飲めないの?赤ちゃんじゃあるまいし…いや、赤ちゃんと比べたら赤ちゃんに悪いわ。赤ちゃんはかわいいからね。」
おかゆとドロドロおかずをグチャグチャに混ぜて口へ運ぶ。が、中々進まない。
1さじにいったいどれだけの時間がかかる事か・・・永遠にも思える長い長い時間・・・
「ハイ!!今夜はこれでおしまい!!」
半分も食べないうちにマヤは切り上げた。
「は?なに?聞こえない!!だからーおしまい!!ごちそうさまなの!!」
大きな声でそう言うとさっさと夕食を下げた。
バン!!ドアを閉める大きな音が響いた。
次の日、マヤは泣いていた。
もう怒りを通りこして涙が出た。
なんであのバーがこんなになってしまったんだ!私に何でもしてくれた。何でも教えてくれた大好きなバーが・・・
なんで何時間かかってもたった1杯のおかゆとおかずが食べれないの?
イライラや怒りをこえて涙が出る。
声を殺して泣いた・・・
こんなにもイライラする位ならもうバーの世話なんかしなければいいじゃないか?
全部お母さんに任せればいいじゃないか?
いや、バーは私におこずかいをくれる。
バーは私におこずかいを渡すのが唯一の楽しみだから。
私だっておこずかいは欲しい。
バーは私が幼い頃からよくおこずかいをくれた。毎日毎日おこずかいをくれた。
だからバーが大好きでよくお手伝いをしたり一緒に遊んだ。
だから!!誰も私を責める事なんて出来ない。
幼い頃からおこずかい漬けにしたのはバーの方なんだから。
私が悪いんじゃない!
そう思いながらも涙は溢れ出す。
あの日、車イスのバーが言ったんだ。
「もういいよ。」って!
言ったんだ!
ほんとに言ったんだ!
言ったんだ!!ってば!!
そう叫びながらも涙は溢れ出る。
この止まらない涙が証拠(なんの?)
この止まらない涙で許して(なにを?)
この涙で・・・もういいでしょ?(なにが?)
この涙で・・・Happyendにして。(よしわかった。Happyendにしてあげる。)
そうこれはHappyendのお話し。
今から始まる楽しいお話し。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます