第15話何か怒ってる?

2024年8月16日、プールでナンパの被害にあっていた女の子を助ける。

2025年4月7日、彩月さいつき高校入学式にて上記の女の子、水原雫みずはらしずくと再会する。同じクラスになりラインを交換する。

2026年11月22日、あの一件で家に引きこもるようになる。

2027年1月1日、水原雫に呼び出され初詣に行く。その日の帰りに告白される。一度は断るも押し切られ付き合う事に。

2027年1月7日、始業式に高校中退し水無月育穂の所で働く事に。

2027年1月10日、一人暮らしを始める。

2027年12月24日、プロポーズをする。

2028年1月1日、同棲を始める。

2029年6月6日、結婚式を挙げる。

2030年9月16日、長女【冬奈ふゆな】誕生。

2032年12月24日、最塚華と揉め殺される。



パッと見ただけでもこんなに歴史が変わってる…。

私が最も気になっていた霞未来乃かすみみらのの件は、正史よりかはマシだけどイマイチ良い対応じゃないみたいね。

しかもこの歴史の憐は、父親の事とか一切知らないみたいね…。


肝心の最塚華に殺されるってのは、この日たまたま帰宅中に百合乃蜜穂と出会い近場の公園で、最塚華と高野鳥昏亞と合流。

そして美羽野沙織が死んだ事を知り、なのに自分だけ幸せそうにと最塚華に責められ押された弾みに転倒、運悪く頭を花壇にぶつけ死亡……。



「はぁ…」


そりゃ、ため息も出ますよ。

こんなに歴史を変えちゃって…何してんのよ憐は!


私は足元で寝ている憐を見る。

もしかするとまだ歴史が変わるかもしれない…そんな事になったら憐の身も危なくなる。

私は憐を起こす事にした。








「憐!起きて!憐!!」


なんだ…?誰が俺の名前を呼んでるんだ??



「憐!起きなさい!」


あれ?これ…母さん?

深い場所にしまっていた記憶が呼び起こされる。

そうだ母さんだ……母さん生きていたんだね。



目を開けるとゆらのんがいた。



「あれ?ゆらのん…?」


現状を把握するに、俺はゆらのんに起こされたみたいだ。

なるほど急にきた眠気はこのせいか……に、してもゆらのんの声って母さんに似てる気がする。

って!何考えてんだ俺!マザコンかよ。



「やっと起きたねキミ。」


「お、おはよ…?」



ゆらのんの顔を見るとどことなく怒ってる?気がした。

あれ?俺何かしたっけ??


「キミは!!一体何をしたのかな!?」



間違いない…やっぱり何か怒ってる…

でも何かをした記憶なんてない!って言うか何か怒らせる事する程絡んでもないし…頭が?で埋まる。

色々考えても仕方ないので聞く事にした。



「ゆらのん…何か怒ってる?」


「はい。ひじょ〜〜〜〜に激おこです!」



激おこ!?!

んだよ…何にそんなに怒ってんだよ…。



「良いですか!?過去に戻るって事は、人の身において絶対に許されない行為なのです。何故なら過去…いや、歴史とは些細な事で{コロコロ}と変わります。実際に過去を変えたキミなら理解してると思っていたのに!」



わっわっわ!

なんか饒舌に怒られてる!?

な、なんの話をしてるんだ?



「それともちゃんと言われないとキミは!理解出来ないのかな?もしかして夢物語とか、そんな感じでやってる!?だとしたら―――」



「――そんな事分かってるよ!!実際こうして過去を変えてるんだし!」

長くなりそうなので、ゆらのんの言葉を遮るように言った。



するとゆらのんは冷めた目で「へー」と含みのある言い方をしてくる。

「なんだよ…」と俺は言う。


「キミの本来の歴史が変わったよ。悪い方にね」


「えっ?」


「キミ、水原雫って知ってる?」


「…知らないけど?」


「キミが気まぐれで助けた子の名前だよ。」


「へ?」


「キミが本来しない事をした結果、キミはトラックに轢かれて死ぬと言う結末から最塚華によって殺される結末に変わった。」



華に殺される??

え??

まてまてまて、いきなりの事で理解が追いつかないぞ…何の話だ??



「すまない。急にあれこれ言っても困惑するだけだね。簡潔に伝えるよ。キミがプールで助けた子…水原雫に出会った事により歴史が変わったんだ」



プールで助けた子??

あ!あの子か!!

昏亞にも言われた…普段しなさそうな事をしてしまった事か!



「で、なんでそれで俺が華に殺されるんだ?」









あぁーもう!

結局一から説明しないといけないのか…。


めんどくさいから要所要所で説明したかったのに!


私は心の中で悪態をつきながら目の前の憐に説明をする。

でも美羽野沙織の死については黙ってた方が良いだろうな…。


「どんな流れかは知らないよ?私はあくまでこの本に書かれてる事しか言わないからね?」


念の為そうやって前置きをする











「―――って事でキミは最塚華に殺されるんだ」



目の前の天使から聞いた話は予想の斜め上…いや、想定の範囲外過ぎて受け入れるのに時間がかかった。

なにより俺が一児のパッパだとおぉぉぉぉ??童貞じゃない…だ…と??


自分の辿ってきた歴史とは違いすぎて驚く事しか出来ない。

なにより、俺は人助けをした。

良かれと思ってやった行為が、こうも歴史を変えるなんて軽くショックも受けている。


あのまま無視をしていたら良かった…?

普段しないならそのままで過ごせば良かった…?


あぁぁ!くそっ!!後悔のない人生をやる為に過去に戻ってんのにそれが原因で後悔するのは本末転倒過ぎる!

とにかく、あれだろ?話聞く限りでは、沙織の件を何とかすれば良いんだろ??

だったら!!!



「その未来を回避する為にもに戻らないとな」


「まあ、そー言う事になるね。いよいよ次はお待ちかねの時代だよ」



小学生と中学生をやり直してきて分かった事がある。

それは、俺のこの過去改変は意味が有ると言う事だ。

俺に都合の良い意味、なのか、俺じゃない誰かに都合の良い意味、なのかは分からないが、確かに過去は変わってる。

きっとも上手くやれるさ。


俺はそうやって自分を鼓舞する。

しかしそれとは裏腹にやはり感情が追いつかない。

俺の人生において一番のターニングポイントなだけあって、やはり戻る事は色々と躊躇いがある。



「はぁ…」


「どーしました?」


「いや、ちょっと心の準備が…」


「なら少し休憩しますか?」


「の方が助かるかも。」


「じゃあ準備が出来たら戻ってきてください」




こうして俺は、ゆらのんから少し離れた場所に移動した。

ふわふわの地面に横になり昔の事を思い出しながら気持ちの整理を始めるのだった―――

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