第16話自分が何したのか分かってんのか!!?
「憐ちゃんって言うんだ!?私は蜜穂って言うの!」
保育園生の頃にそうやって蜜穂に話しかけられたのが最初の出会いだ。
この時蜜穂は俺が女の子だと思って声をかけたらしい。
でも蜜穂は、意地っ張りと言うか頑固と言うか……俺を女の子と勘違いしてた事を認めたくなくて俺に「れっちゃん」と言うあだ名を付けた。
それからは俺と蜜穂は二人で遊ぶことが多くなり、ある日の昼休みに「男なのにちゃん付けなのオカシイ!」と絡んできた馬鹿がいた。
それが昏亞だ。
色々あり昏亞とも仲良くなり俺は「くーちゃん」と言うあだ名を授けた。
れっちゃん、みっちゃん、くーちゃん、俺たちの物語はここから始まった。
保育園の先生達にもこの3人は仲が良いと言われ自然と親同士も仲良くなっていた。
当然小学校でもその関係は続いた。
小学校に入ると一気に増える同級生に戸惑いながらも俺は必要以上に関わる事無く過ごしていた。
元々コミュ力のあった蜜穂は、すぐにクラスに溶け込み、運動が出来た昏亞もヒーローみたいな感じで溶け込んでいた。
でも俺はこの2人が居るからそれで良いと思っていた。
だけど、そんな日は続かなかった。
小学3年の時に俺達3人はバラバラに別れてしまった。
俺は不安でたまらなかった。
そんな時に「良かったぁ〜知ってる人が居て」と話しかけてきたのが華だった。
華とは小2の時に同じクラスになり同じ班にもなった事があり知らない関係でもなかった。
俺は蜜穂と昏亞が居なかった反動もあり、華とすぐに打ち解けた。
どうやら華も仲良くしてた子と別れたらしく俺と同じ様な感情を抱いていたらしい。
それでも昼休みには3人で集まるから俺達の関係は壊れる事はなかった。
その3人の輪に華と沙織が入ったのもその頃だ。
華も俺達と同じ様にクラスが別れた仲良しの子と昼休みには遊んでいた。
蜜穂と沙織が同じクラスなのもあってすぐに俺達は仲良し5人組となったのだ。
3年生の月日が流れ4年生になった時は、俺と昏亞が同じクラスで女子3人が同じクラスになり
5年生でやっと俺達は同じクラスになれた。
それからもなんだかんだとずっと仲良くやっては来れたんだが、あの日がやってきてしまう。
沙織が俺に告白して俺達がバラバラに別れた日だ。
「ねえ?もし私が華に憐からレイプされそうになったって言ったらどうする?」
告白されそれを断った後にそう言われた。
「ま、待てよ!そ、それだけはやめてくれよ!!華に嫌われたりしたくないんだよ!」
そう言ったのがいけなかった。
「何よ!華!華!華って!!憐は昔から華しか見てなかった!!!私の事なんて少しも見てくれなかった!!こんなに好きなのに……なんで…なんで…!!!」
「そんな事な―――」
「――あるの!!そんな事あるの!!!憐が好きなのは華なの!!華が好きなら私に優しくしないでよ!!私といて楽しそうにしないでよ!!!私が落ち込んでる時に一緒に居ないでよ!!!私が……うっうぅ…」
涙を流しながらそう叫ぶ沙織に俺は何も言えなくなり沙織は、その場を去った。
放課後だったのもあり時間を置けば沙織と鉢合わせする事も無いだろうと思ったのだが、その考えは見事に否定され
教室に入った瞬間、別のクラスだった昏亞に胸ぐらを掴まれ
「お前!沙織を襲ったんだって!?自分が何したのか分かってんのか!!?」
そう言われ俺は全てを理解した。
沙織を見ると目を逸らされた。
華を見ると目を逸らされた。
あぁ…もう駄目だわ。
「るさいなぁ!昏亞には関係ない事だろ!?離せよ」
「てっめぇ…それが、お前の答えか?詫びとかないのか?」
「だったら?」
それから俺達は殴り合いの喧嘩になった。
俺は友達をレイプしようとした奴になってたし元々他に仲良い奴も居なかったから放課後に残ってた【その他大勢】達は昏亞の味方をしていた。
もう先生が止めるしかないんじゃないのか?と思われる中、1人の声が教室中に響き渡った。
「やめろおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
声の方を見ると蜜穂が立っていた。
そう言えば最初から蜜穂は居なかった気がする。
それから蜜穂が仲裁に入って俺と昏亞の喧嘩は終わった。
教室を見渡すと机とかめちゃくちゃになってたが、そんなの知るもんかとバッグを取り俺は学校を出た。
そして俺は家に引きこもる様になったのだ。
「はぁ…」
ため息が出る。
そんな波乱な1日をどう回避すれば良いんだよ…。
何度考えても答えが出ない。
いっそ付き合えば良いのか!?
昏亞に胸ぐら掴まれた時ちゃんと説明すれば良かったのか!?
「だぁー!くそっ!」
頭を抱え考えるもやはり答えは出ない。
いや、待てよ??
もしかしたら一つだけ方法があるかもしれない。
俺は、ゆらのんの説明を思い出す。
「やっぱり…」
自分の閃き通りの内容で1人納得する。
作戦が決まった。
その内容は―――
――過去を変えた事によって出来た繋がり…水原雫を使う事だ。
ゆらのんの説明だと、俺は入学式の時に水原雫と連絡先を交換してるらしい。
だから水原雫に俺のバッグを持ってきてもらうんだ!
そしたら教室に入らなくて良いしあんな事は起きない!!
って!!!それだと翌日に変わるだけじゃね!?くそ!!俺の馬鹿ぁぁ!!!
じゃあ、どうすれば良いんだ??
てか、そもそも水原雫の記憶が無いのって何でだ??
1回目の過去改変の時から思ってたけど、俺には過去改変したその後の記憶がない。
過去改変したって事は、それは俺の過去に変わるわけだろ??
だったら過去改変後の記憶があるのが普通なんじゃ…。
でも俺には水原雫と結婚し娘が出来たなんて記憶がないし
正確に言えば最初ここに来た時から記憶に変更はない。
よし、沙織の事考えても分かんねーしゆらのんの所に戻るか。
そして俺は、ゆらのんの所に戻り先程の疑問をぶつけた。
「それは同期してないからです!」
そう言われてもよく分からんから
「同期…??」
と聞き返した。
「えっと、キミは最初にトラックに轢かれ死亡したキミなの。それは、どんなに過去を変えようと変わらない。じゃあ、その過去改変した後のキミは??って疑問になると思うけど」
「あれを見て」
そう言って遠くの方にある建物を指差すゆらのん
「あそこは輪廻の館って言って死んだ魂を別の器に入れる所。所謂来世ね。過去改変を行なっても結局死ぬキミは、平行世界の輪廻の館に行ってると思うわ。そもそもまだ平行世界の話だしね。」
「ん、ん?」
「つまり!キミが過去改変を行なった時点でそこは平行世界になるの!キミは、こっちに戻ってきた瞬間、平行世界のキミと交代するから平行世界のキミになるの。」
「ふむ…?」
「ここは現世とは違う空間だからキミはキミで居れるし別のキミは別のキミのまま。でも本来死んだキミが現世に居るとそれは世界からしたら不確定要素となるの。バグみたいなものね。だから世界は、それを直すのよ。それが同期って言うの」
「……」
よく分からんぞ?
ゆらのんを見ると説明が終わったみたいな顔してるし、分からんとは言いづらい。
「と、とにかく死ぬ未来を回避すれば良いんだよな?」
と、分からないけど言っておく。
「そーです!!!言葉で説明するよりも体験した方が早いです!!」
「じゃあ、そろそろ行こうかな」
「心の準備は出来ましたか?」
「まあ、為せば成るってね!頑張ってみるよ」
考えても答え出ないし…
「でわ……ゆらのんビイィィィィィム!!」
*
ふう…3回目の転生を確認し一息つく。
そんな時に目の前の空間に穴が空く。
神ちゃまだ。
「ゆらのん、ちょっと良いか?」
「どーしました神ちゃま?」
「神ちゃま言うな!!いや、先程輪廻の館でな…お前の手助けになりそうな人を見つけたから連れてきたんじゃ」
「え?私の手助け…??」
「おい!お前!こっちに来い!!」
そう言われ空間の穴から1人の人物が出てくる。
「あ、あなたは…!??」
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