第7話はぁ…
「ただいまー」
私はそう言って部屋へと向かう。
ランドセルを机の上に置きベッドの上に座る。
「はぁ…」
思わずため息が出る。
いつも学校に行く頃に見ているテレビで今日の星座占いと言うコーナーがある。
その星座占いはランキング形式で今日の運勢を発表していくのだが、私の星座…天秤座は1位だった。
好きな人と楽しい時間が過ごせるでしょうと説明が入り私は、れっちゃんを思い浮かべた。
今日はれっちゃんと何かあるのかな?と半信半疑だけど、そうなれば良いなって感じで思ってたけど……今日は何だが距離を感じた。
れっちゃんだけじゃなく、くーちゃんやさっちゃんやはーちゃん達も何か私に隠し事をしてたみたいで、今日は何だが変な気持ちで過ごしていた。
今日は、れっちゃんと何かある筈だったのになぁ…結局星座占いなんてそんなものかな…って思ってたけど
このまま流されるだけじゃ駄目だ!と、思い切ってれっちゃんを家に呼ぼうと声をかけてみたけど………駄目だった。
ぱふっ
私はベッドに横たわり色んな事を考えた。
いつから私はれっちゃんを意識したんだろう。
なんで私はくーちゃんじゃなくれっちゃんを好きになったんだろう。
そんなの覚えてない…。
気付いたら好きになってたのだ。
「はぁ…」
さっちゃんはきっとれっちゃんの事が好き…なんだよね?
れっちゃんもあんなに抱きつかれても嫌な顔しないし満更でもない感じなのかな?
んー、でも私的にれっちゃんは、はーちゃんの事が好きなような気がするんだよなー。
いつもはーちゃんの事見てるし…
さっちゃんもはーちゃんも可愛いし私に勝ち目なんてないのかな…
私が有利な事なんて幼馴染って所だけだし……
「はぁ…」
この数分で3回ものため息をつき私の幸せは、どんどん無くなってるのかなって思った。
そう言えば、さっちゃんとはーちゃんと仲良くなって3年は経つけど
れっちゃんと一緒に居られる時間前より減ったなぁ…。
「はぁ…」
またため息ついちゃった。
ため息つく度に幸せが逃げるって良く言うけど、それならもう4回も幸せ逃げちゃったのかな。
幸せって何だろう…。
ふと時計を見ると17時を過ぎていた。
今頃お母さんは夜ご飯の準備をしてるに違いない。
部屋でゴロゴロしてても仕方ないし家事の手伝いしようかな。
そう思って私はキッチンへと向かう。
ピンポーン
リビングを過ぎようとした時にチャイムが鳴る。
「あ、蜜穂!ちょっと出てくれない?」
忙しそうにお母さんがそう言ったので私は{はーい}と返事を返して玄関に向かう。
ガチャッ
玄関を開けるとそこには予想もしていなかった人が立っていた。
「やあ」
その人は、照れ臭そうにそう言った。
私は驚きのあまり
「れ、れっちゃんどーしたの?」
と、キョドッてしまうのだった。
*
蜜穂を誘い近くの公園までやってきた。
どうも俺が来るなんて思ってなかったらしくてかなり驚いていたみたいだ。
公園には、まだ遊んでる子達が居たもののベンチ付近には人は居なくてゆっくり話せそうだった。
と、言っても何を話したら良いのか…って所だ。
本来の歴史ならこのイベントは無かった事なので未来から視た俺もドキドキしている。
とりあえず俺たちはベンチに座るのだった。
*
私はれっちゃんに誘われ公園に来ていた。
そこのベンチに座って数分が経つもお互い何も会話はしていない。
とりあえず無言のままは嫌なので、私はれっちゃんに質問する。
「どーしたの?今日買い物があったんじゃなかったの?」
自分でもトゲのある言い方だったかなって思った。
でも大事な事だから私は聞きたいと思った。
少し沈黙した後、れっちゃんが照れ臭そうに呟いた。
「みっちゃん何か様子おかしかったから…」
え?
私の様子がおかしかったって…それってもしかして…
「私の事…心配してくれたの?」
私は驚きのあまり聞いていた。
そしたられっちゃんは
「当たり前だよ!幼馴染なんだから心配するよ!」
と強く言ってくれて私はとても嬉しかった。
こう言う所なんだろうな……れっちゃんの好きな所って…。
勿論くーちゃんも優しいんだけど、れっちゃんはこうして私に会いに来てくれる。
私の事を見てくれている。
好きな理由なんてそんなもので…良いよね??
「ありがと」
私は涙が出そうになるのを我慢してそう言った。
*
「ありがと」
蜜穂がそう言ったので俺は蜜穂の手を握った。
「何があっても……」
あぁ…そうだよな。
何があってもだ!
何があっても俺は……
「みっちゃんの味方だよ」
そうだ。
俺はそうだった。
俺は何があっても蜜穂の……皆の味方だった。
その気持ちは揺るがなかった……筈なのに。
なんでだろうな…やっぱり俺の
俺はあの時間違いなく孤立していた。
だからそんな俺と関わると皆も孤立するんじゃないかと怖かった。
こんな思い俺だけで充分だ、と勝手にかっこつけて皆から離れた。
昏亞とはそれがキッカケで言い合いしたっけ…
いや、間違ってない筈だ!
あの時の俺は良くやった筈だ!
俺はそう強く思った。
「ね、ねえ?れっちゃん?」
不意に蜜穂から呼ばれ驚いたものの俺は{ん?}と返事を返した。
*
そうだ。
今日は特別な日なんだ!
今日は、れっちゃんと距離が近づく日なんだ。
そう朝の星座占いを勝手に解釈した私は、もう一歩先へ進みたいと思ってしまった。
「ね、ねえ?れっちゃん?」
「ん?」
心の中で息を吸い気合いを入れる。
そうだ!今日は特別な日になるんだ……いや、私が自分でするんだ!
そう覚悟を決めて言い放つ
「れ、憐って呼んで良い?勿論私の事も蜜穂で良いから!」
言ってしまった!
言ったぞ私!良くやった!
私は私を称賛した。
*
嘘だろ…。
俺は驚きを隠せなかった。
と、言うのも本来の俺の辿って来た歴史では皆を名前呼びで固定するのは中学の入学式の前日だからだ。
「中学入っても ちゃん付け はどーかと思うんだよね」
って昏亞が言い始めてそれに皆が乗っかる形で呼び捨てを始めたのだ。
なのに……小5のこの時期に蜜穂からその誘いが来るだと…??
ふと天使ゆらのんの言葉を思い出す
「でもねキミはどうも色んな選択肢を間違えて来てるらしい」
そしてこうも言っていた
「つまり蜜穂ちゃんと仲直りするには幾つかの場面に戻って正しい選択を選ばないといけないらしい」
って事はこれが正しい選択って事なのか?
本来なら俺と蜜穂はここで呼び捨て呼びに変わるのか?
この選択を選ぶ事がこの時代に戻った意味だと言うのなら…!!
「うん、良いよ。よろしくね…みっ……蜜穂」
俺は言い慣れているが、どうやらこの時代の蜜穂には刺激が強かったらしく蜜穂は赤面して下を向いていた。
だが、ガバッと顔を上げて
「よ、よよ、よろしくね……憐…」
と、小声で俺の名前を呼ぶのだった。
それから時間も時間だし俺達は帰宅する事にした。
「またね!…憐!」
そう照れながらも嬉しそうに言って{サッ}と家に入って行った蜜穂は、とても可愛いらしい一人の少女だった。
「またね蜜穂」
誰に聞かすわけもなく俺はそう呟き家に入るのだった。
それから時間は経ち俺は布団に入っていた。
急に眠気が襲われるのだが、俺は一つの事を思い出す。
「あ、プレゼント郵便受けに入れたままだ…」
でも、どうしようもなく眠たい。
まあ、明日の朝母さんが見つけるだろう…だから今夜はおやすみ……
暗闇
暗闇
「ん、う〜ん…」
目を開けると目の前には
「おかえりなさい」
ゆらのんが居た。
咄嗟に俺は返事を返す
「ただいま」
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