第17話 戦場の中で

 俺は武藤・藍人は、職員室での事情聴取を終えた


「事情は分かった。お前と彼女には当分接近禁止命令を出しておく。やれやれ・・・。」


 俺達の事情聴取を担当していた大塚先生が眉間を押さえながら、俺達から預かっていた電子生徒手帳を機械に繋ぎ何かアプリをインストールしていた


「よしっと・・・。これで一週間の期間中は対象者が互いに近づくと反応する様にした。近すぎた場合は風紀委員と近くの教職員に連絡が行く」


 ”反応する、か・・・”


 先生の説明を聞いて疑問を言った


「それって逆に追跡に使われませんか?」


「もちろん彼女の方にはこの機能は伏せるよ。安心しな」


「それで彼女は今どこに?」


「生徒指導室で今戦闘中だ」


 確かに生徒指導室からさっきから轟音が響いている。彼女はいったい何者なのだろう? だが勝手に人の能力や経歴を探るのはルール違反なので本人に直接聞くしかないのだが


「私も彼女に罰の宣告と鎮圧に行かなければならないからな。ここに居る生徒はそれぞれ特殊なヤツだから、どうしても合わないヤツは出てくるんだが。色恋沙汰でここまでの問題を起こした奴はは私も初めてだよ」


「はは・・・、なんかすみません」


 大塚先生は少し険しい目をして俺に聞いてきた


「もう一度聞くが、本当にお前のスキルのせいじゃないだよな武藤?」


 当然の質問だった、俺の異世界での履歴はこの世界に帰って来た時に報告済みだったし、報告義務は自由の条件だったから。でも・・・


「異世界で異様にモテたのは事実ですが、スキルでない事は他の異世界帰りの調査で分かってますし。どうしてこうなったのか・・・」


「そうか、もう行っていい」


「お疲れ様です」


「おう、じゃあな」


「失礼しました」


 俺は大塚先生が肩を鳴らしてから生徒指導室に向かう背中を見ながら職員室を退出して


「あ、アイちゃんお疲れ。早くナカちゃんの所に行こ」


「ああ。思ったより早く終わってよかったよ」


 先に廊下で待っていた里香と合流して食堂に向かった


「えっと、この先のはずなんだが・・・」


「ガアアアアアアオン!」


 行く道を体長8メートルはある氷の猛獣と、炎をまとった15メートル以上はあるかと思われる蛇が暴れていて進めそうになかった。霜と炎で良く見えないがその隣でその獣の飼い主らしき人物達が喧嘩している声が聞こえる


「おい!誰がこんな氷の化け物を召喚したんだ!」


「ヘビだから低温に弱いって言って誰か私にたのんだの!」


「助けてくれー・・・」


「ヘビのお腹の中から人の声が!? 早く助けないと!!


「蛇の飼い主はどこだ!? 術者を倒せば消えるはずだ!」


「俺も召喚獣だと思って飼い主を真っ先に叩いたんだが・・・。ノックアウトしても消えなかったんだよ」


「魔法による召喚じゃなかったみたいだな。機械的な物でモンスターを捕まえて使役する奴が居ると聞いた事があるが」


「じゃあこのヘビ、飼い主ぶちのめされて怒ってるんじゃね?」


「つまり気を込めたアッパーをくらわした俺のせいか・・・すまん」


「冷静に分析してる場合か! どこだその飼い主!!」


「そこでのびてる」


「コイツ起そう!今すぐ!」


「だれか! 回復できる能力を持ってる方は居ませんかぁ!?」


 俺と里香はこの光景を見てため息をついた


「・・・いつもながら騒がしいな。里香、能力は使えそうか?」


「ううん、ダメみたい。自分でも何で力が強くなるのか分からないから・・・ごめんね」


「いや、謝ることは無いよ。里香の能力も謎なんだよなぁ。やっぱ抱えてる人形が原因・・・」


「ギロ」


 俺は人形に睨まれた気がしたので危ない発言を止めて、別の話題を振った


「よ、よし! 里香、俺が道を切り開くからついて来てくれ」


「うん!」


 俺は盾と鎧を装備し、スキルを使って移動速度を上げて突撃した


「邪魔だ退け!」


「ガアアアオン!」


 道を阻む氷の魔物を切り倒し


「ガシュン!」


 その術者が悲鳴を上げた


「きゃああ! 私のアイスバインが!」


「自分の召喚獣に豚肉料理の名前つけてるのか?」


「子豚みたいにマルっとしたネコ科動物だからそう名付けたのよ! お気に入りの子なんだからね!」


「キラキラネームってペットにも言うのかな・・・・。その前に子豚ってサイズじゃねぇ」


 そして、その後を里香が走ってついて来て


「まってよ~アイちゃん。あ!」


「シャアアア!」


 ヘビが里香と目を合わせた瞬間


「シャッシャア・・・オエ!」


 ヘビは怯えたように震えだし、飲み込んでいた男子生徒を吐いた。吐き出された生徒は歓喜の声を上げる


「助かった!」


「お前服解けてるぞ!」


「裸じゃないか、隠せ隠せ!」


「何を言っている? 私はこのブーメラン一丁が正装よ! この鍛え上げられた肉体美!思わず食べちゃいたくなるのもわか・・・・」


「ギロ!」


「うぐう!」


 里香の視線に入る前に、人形が男子生徒を睨みつけると、その男子生徒は心臓麻痺を起したように倒れてしまった。それを見た俺は思わずぼやく


「やっぱ里香がこの学園に入れられた原因って呪いの人形のせいだよな・・・」


「あれ? なんかみんな倒れちゃった?? アイちゃんがやっつけたんだね!さすがアイちゃん!」


「お、おう・・・まあな」


 里香の誤解に適当に話を合わせて、俺達は幸次の居る場所まで移動した


「幸次、開けてくれ」


「ナカちゃん、あそびましょ~」


 幸次は俺達に気付いてバリアーを部分的に解いて、俺達を中に入れた


「バアアン!」


 俺達が中に入ると同時にバリアは直ぐに閉まり、バリアの外で爆発が起きたが、多分風紀委員が鎮圧の為にミサイルでも撃ったんだろう。大した事じゃない

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