ランチタイム

第16話 学食でまったり雑談

 俺、中村・幸次は午前の授業を終え、転校生の京香を誘って学食に来ていた


「どうだ京香、何とかやっていけそうか?」


「正直、曲者ぞろいの教職員方に驚きましたが、普通に学業にはげめるというものは良い物です。前の学校とは危険のベクトルが違うだけで労力はそれほど違いはありませんわ」


「ハハ!流石タフだね。俺は入学初日に環境が違い過ぎてまいっちまったってのに。異能が無くても基礎の部分の出来が違うな」


「素直にお褒めの言葉そして受け取らせていただきますわ」


 俺の言葉にすました笑顔で答え、紅茶を啜る京香。俺は周りで騒いでる連中を見ながら京香に質問した


「でも周りこんなんだぜ、多少修羅場は潜ってるとは言え怖くないか?」


「異能の力とは言え使うのは人間、ならば、ある程度行動は読めるというもの。・・・とは心がけては来たのですが、流石にクラゲが出て来た時はくじけそうになりましたわ」


 頭を押さえながら言う京香に、”コイツこの先大丈夫かね?”と思い俺は笑って聞いてみた


「ハハハハ、海阪先生見た時に凄い動揺してたもんな。人間以外は相手にした事無いのかい」


「基本的にありませんわね。貴方は?」


「俺もあまりないな。藍人なら慣れてるだろうが」


「ほう、私を倒した方ですわね。あの方ってどういう方ですの?」


「異世界に飛んで戻って来た元勇者さんだよ、能力については他人が勝手に喋るのはタブーだから藍人に直接聞きな。京香も注意な」


 俺の話を聞いて、何故か京香は機嫌悪そうな顔をして舌打ちしやがった


「ちっ、心得ましたわ」


「なぜ舌打ちした!?」


「失礼、私を倒した相手ですから先ず彼から情報を集めて、戦闘の参考にしようかと思ってましたので」


「なるほど、・・・広範囲に情報を集めると混乱するから一人に絞って分析して今後に生かそうって事か?」


「その通り、私は自分を高める為にこの学園に来ましたの。私より強い者の戦略を参考にし、少しでも強くならなくては・・・」


 立ち上がって力説する彼女だったが、正直あまりいい案だとは思えなかった


「参考っと言っても、他人の能力をマネできるのでもなければ無駄になるっじゃね? 自分の能力に向き合った方が良いんじゃ」


「少なくとも、機械の乗っていたとは言え格闘戦で彼に私は負けましたわ。その辺りの敗因を探りたいんですね」


「なるほどねぇ。ま、がんばんな」


 京香は落ち着いて再び席に座っって静かにつぶやいた


「それにしても・・・」


「ん?」


「周りで餓えて食糧を求め争う中、友人と一緒に静かにお茶をするのは愉悦ですわね」


「そ、そうか・・・」


 そう俺達の周りでは今・・・


「さあ!その席をよこせ!」


「ふ、357マグナム程度で何ができる。俺を倒したきゃロケットランチャーでも持ってこい!!」


「残念! こっちは火炎放射器だ!」


「なに!?ぎゃあああああ!」


 学生達が各職の席を取り合っていた。もうこの程度でくたばる奴はこの学園にはほとんど居ないので皆遠慮がない。かく言う俺も念力で邪魔者を吹き飛ばしてこの席を確保したのだが


「きゃー! 私の召喚獣を食べようとしないで!!」


「こっちは逆に召喚獣に食われそうになってる奴が居るぞ! 飼い主はどこだ!!」


「生暖かい・・・」


「うわぁ!完全に飲み込まれたぁ!? 今助けるからしっかりしろ!」


 どんちゃん騒ぎで色んなものが飛び交う中、俺はバリアを展開して平穏を保っていた


「早く、藍人達来ないかな」


「来てもこの騒ぎの中、私達を見つけられるのかしら?」


「それは大丈夫、パーティを組むと組んだ相手の位置が分かるスキル持ってるからアイツ」


 そんな事を話してるとさっそく話題の男がフランスパンを持って現れた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る