第9話 撃滅バトルロワイヤル

 藍人は士道に刀を向け睨み合った


「来るか! 打ち落としてあげますわ!」


 士道は急に方向転換し迫ってきた藍人を銃剣で切り払った。藍人は刀で銃剣を受け流し火花を散らす


「ガッ、ァァァアアアアアン!」


「くうッ!」

「このっ!」


 そのまま藍人は士道の懐を抜けて斜め上へ飛び!


「ふッ!」


 そのまま急旋回して落下エネルギーを利用して士道に斬りかかった


「ガキン!」


 士道は体勢を崩しながらも藍人にに照準を合わせ撃とうとするが


「バン!」

    「ス・・・…」


 照準が合う前に愛とは上に飛んでしまい攻撃はさずれてしまった。そして再び落下エネルギーを利用して斬り付けを繰り返し八の字の軌道を描きながら戦いを見せる


「ブゥン」

   「ガキン!」

「ブゥン」

   「ガキン!」

「ブゥン」

   「ガキン!」


 苦戦する士道は藍人に叫んだ


「きゃっ! ロボットの戦闘経験がお有りですの!?」


 士道の問いに攻撃しながら藍人は答る


「いや、無いよ。ただ空中での格闘戦に慣れてるだけさ!」


「さすがですマイダーリン♡」


「ダーリン言うな!」


 茶々を入れる明海を軽くあしらって、藍人は攻撃姿勢を崩さない様に飛び続けた。収まらないどころか段々スピードを増し重くなる攻撃に士道も弱音を吐く


「くっ、どうにかして距離を取らないとッ!」


 士道の弱音に対し明海が調子に乗って罵った


「ふははは!これが二人の愛のパワー! 愛の重さを思い知るが良い!」


「愛うんたら以外は同感だ!こっちは人ひとり抱えてるんだ、体重が二倍になったのを利用しない手は…ぐっ!」


 藍人の発言に怒った明海は肘鉄を食らわせた


「私が重いみたいに言わないで! 絶対アナタより軽いですから!二倍とか無いから!」


 藍人は痛みの悶絶しながら、明海の揺れる胸を見て思う


”その質量・・・絶対に嘘だ・・・”


「今ですわ!」


 士道はその隙に距離を取って反撃した


「バンバンバンバン!」


「うわー! お間のせいで距離を取られたじゃないか!」


「アナタがいけないんです!」


 言い争いながら再び逃げ惑う二人、藍人が提案したが


「このままじゃ撃墜される!適当な場所に下ろすぞ!」


「いやですわ、このまま二人で空をランデブーしましょ♡」


「そんな事言ってる場合か!」


「いやいや!ずっと一緒に居るの! 死が二人を分かつまで♡」


「分かつな!…と言うか死ぬな!殺すな!」


 提案を明海に却下され駄々をこねられ、仕方がないのでスピードを上げてより離れようとするが


「射程外に逃げる気!? 逃がしませんわ!適度な距離を保たさせてもらいますわよ!」


 士道が追いかけて来た


「うわ追って来たぁ!?・・・こうなったら」


 藍人は辺りを見て場所を見極め、士道を誘い込む事に成功した


「ここだ!」


「え!消えた!?」


 その状況を見て司会が実況をはじめる


「おお~と! 士道選手、武藤選手を見失ったようですどういう事でしょうか?」


「機体全体を覆うミラコートを利用したのでしょう。鏡は光を反射させてしまうので目立ちますが、逆に光を反射させない状況だと周りの景色が鏡に映り込み景色と同化して高い迷彩効果を発揮します。この迷彩効果だけを発揮する鏡を現在研究中です!ね、凄いでしょ!予算ください!」


 アキバの解説が終わるころ、藍人は士道の真下へと潜り込んでいた


「もらった!!」


「レディを下から覗くなんてはしたなくてよ!」


 士道の射撃が来る前に藍人は位置を変えて太陽光を反射させ


「目くらまし!?」


 視界を奪われ隙を見せた士道を容赦なく藍人は刀で突き上げた


「でぁあ!」


「ス…」


 だが士道はわずかに動かし藍人の突きを躱し、上に飛んでいく藍人に銃を向けた


「惜しかったですわね! ッ!?」


 藍人は太陽を背にしていてまた目をくらます


「やっぱり空中戦は素人みたいだな!」


「あ!」


「ガシュウゥゥン!」


 上からの攻撃に成す統べなく士道の機体は切り裂かれ、重度のダメージ被う


「ビッ!」


 機体から音が鳴り安全装置が働いて士道の機体は場外に回収された。司会は高らかと声を上げ宣言した


「武藤選手、士道選手を撃破!」


 歓声が会場に響き、藍人は地上に降りた。そこへ里香の機体が嬉しそうに駆け寄って藍人に話しかけた


「やったねアイちゃん!」


「ああ里香、もうエネルギーつきそうだがな」


「あんなに飛んだんだもんね」


 藍人と里香が話していると明海が少しむくれていたそして・・・


「こらもう降りろ、俺は棄権す…むッ!?」


 明海は喋ってる途中の藍人の唇を奪った


「助けてありがとうね。ダーリン♡ 少し歯があたっちゃった♡しっぱいしっぱい」


 それを見た里香は頬を赤くし動揺し


「あ・・・あわわわ」


 やがて冷静になり目だけ笑って静かに言った


「私エネルギー余ってるから、全部ここで使っちゃうねアイちゃん☆」


「え、ちょっと里香何言って・・・」


 藍人の言葉に里香は聞く耳を持たず。全サブアームのレーザーガンを藍人達に向けエネルギーをチャージした


「おい、マジ待て里香ぁ!」


「アイちゃんの・・・・バカァァァァァ!」


「ギュウウウウウウウウウウウウウウウン!」


 里香の罵声と共に放たれる高出力レーザーの前に、藍人の機体は一撃で倒れ


「うわああああああああ!!!!」


 こだまする藍人の悲鳴がかき消え、司会が里香の勝利を宣言する


「武藤選手ダウン!勝者!御剣・里香選手!」


「いいデータ・・・いや、良い戦いだった」


 会場が歓声で包まれる頃には藍人の意識は遠い光の世界に旅立っていた

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