4. ヒサシブリ



教室前方のドアから入ってきたのは、どこか見たことのある顔だった。

華奢な身体にどこか淡い色の瞳。ふわふわした長い髪はきれいなキャラメル色。

どこか昔、見たことがある。そう、どこかで。


とても美しいキミにクラスのみんながみとれていて、あの西河君でさえも頬を紅く染めていた。

そんなキミが口を開くと、みんな一言も聞き逃すまいと身を乗り出したように見える。


そして聞こえたキミのコエは、凛とした芯のある透き通るほどきれいなものだった。

そしてボクは思い出したんだ。キミは、ボクのヒーロー。



東王寺とうおうじ あおいさんだ。」


「よろしくお願いします。」


「(あおちゃん...)」



今日ほどコエがデナクテよかったと思う日はなかった。

先生が紹介したキミは、まっすぐボクを見据えていうんだ。



「ヒサシブリね、リオ。」



ボクはゆっくり、ゆっくり頷いた。

今ボクの頬を濡らしている涙は、悲しいからではなくうれしいから流れているんだと、どうか伝わってほしい。


おかえり、ボクのヒーロー。


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キミ、ボク。 @NkMm_xxx

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