第2話
騒がしい。聞いたことのない言語が聞こえる。手足が押さえつけられていて動かない。どうゆう状況だ。なぜこのような状況になった。俺は今どこにいる。
ゆっくり目を開ける。何かに囲まれていて、穏やかな状況ではない。思い出した。俺は転生したのだった。狭い箱に突っ込まれて。一応、生きているということは成功したのか……
にしてもこの状況、どう考えてもおかしい。見たことがないものに今更出会えるとは思いもしなかった。今、俺を囲んでいるのは、人間の体 に、うさぎの顔で、髪の毛がはえてる生き物。ついでに、耳もはえてる。これが異世界というやつか。俺はそれらに手足を拘束されていて、さらに相手は俺に刃物を向けている。あぁ、わかってしまった。今から俺はここで殺されるんだ。もちろん死にはしないが。
1匹、いや、1人のうさぎのような男たちが俺の上にまたがり、上から押さえつける。この状況でまだ俺が動けるとおもっているのだろうか。別の男が目を見開いて俺の腹に剣を突き刺す。斬れ味は悪くない。切れ味の悪い刃物はそれはもう痛いのだ。今回はそこまで痛くない。だが、さすがに意識……が……とぶ……
ふいに少し遠くにのほうから声がした。
「お前ら何をやっている。その人を離せ。こちらの大切な人材にひきょうなやり方で手を出すな。」
なんだこいつ……誰だ……味方……か……?
* * * * *
目に飛び込んできたのは見慣れない木の天井。と先ほどの謎の男。
ゆっくりと体を起こす。
「おう、目覚めたか。包帯取り替えるから待ってろ」
『ありがとうございます』
看病をしていてくれたようなのでここは素直に返事をしておく。とりあえず、敵ではなさそうだ。あまり体はいじられたくないが、下手に逆らうのもよくない。疑われる。どちらにせよ、異常な体をしているということがばれて研究でもされたらたまったものじゃない。
おとなしくしておくべきだろう。
「あれ?」
『どうしました?』
「お前、さっき確かに帝国の奴らに刺されたよな」
帝国……うさぎ人間のことだろうか。
『はい』
やはりばれてしまうか。傷を見れば分かるものだから……
「もしかしてお前、腹になんか貼ってるのか?」
『はい?』
何を言い出すんだこの人は。
「まぁ、治ったならいい!
戦力が減ったわけでもないし。しばらくは安静にしてろよ」
そういい、豪快に笑いながらベッドしかない、この狭い部屋から出て行った。
一人、静かな部屋に取り残される。
よかった。バカでよかった。
バカだったというか、どうでもよかったのかもしれない。どうでもいいにしても何か貼ってると思うのはどうなのか……
おそらく彼は、「人の命」としてではなく、「戦力」として俺をみた。
個人には何の興味もない。期待などしていなかったが、そんなものか。
豪快なタイプは人情にあついのではないのか?
とりあえず、ここがどこなのか。
これからどうすればいいのかを知りたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます