第20話 スノーホワイト

 京子・麗麗華・ソーマによる獅子奮迅の活躍で、雑魚は目に見えて減っていく。京子が大きく息を吐いた。

「ふぅーっと。残り一ダースぐらいかしら」

「さっきから思ってたけど、ダース単位で数えるやつ久しぶりに見たわ」


 そのとき――。


「!?」

 ソーマが空を見上げた。白いものが暮れなずむ空にちらついている。

「いかん、雪じゃ!」

「どうしたんだ、博士!? 俺たちは強化スーツを着ているんだし、雪ぐらい――」

 博士が焦ったようにまくしたてる。

「サルレンジャーの能力はマンドリル、ゴリラ、オランウータン――主に熱帯地方に棲むサルをベースにしているんじゃ……つまり寒さに弱い」

 はたと京子たちを見やると、先ほどまでの暴れっぷりはどこへやら。皆が弱々しい声をあげてへたりこんでいた。

「うう……」

「力が入らないわ……」

「あとひと息でしたのにっ……!」

 次々と地面にくずおれるメンバーたち。

「はははは、なぜこの時間帯に作戦を決行したかわかったか!」シロハマグマリ女が高らかに声をあげる。戦闘兵の数はかなり減ったとはいえ、今の弱体化したメンバーで倒せるかどうか――必死に状況を確認していた俺は、ひとつ意外な事実に気がついた。

「あれ? 俺なんともないぞ?」

「ふっふっふ」

 俺を真正面から見つめた猿田彦博士の目がキラリと光った。

「我々のみならず、なぜスーパーヒーローが五人一組で行動するか考えたことがあるか? そしてなぜ個々のベースが違う種族なのか?」

「博士……?」

「五人あえて別々のサルをベースにした超人化計画の神髄……それは各々の欠点を補い合うことじゃ!」

「つまり……!?」

「少輔、君=マシラレッドのベースになっとる“ニホンザル”はわりかし寒さに強いんじゃよ。世界で最も高緯度に生息するサルじゃからの」

「もったいぶった割にはシンプル」

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