第10話 不言猿田彦
「麗麗華、ごめん。ハムかずのこ男をちょっと足止めしておいて!」
「京子さん、まさか変身ブレスを勝手に使うつもり!?」
流れている映像は、先ほどのカレーショップ店内。防犯カメラの映像だろうか。
黒スーツと京子の会話から察するに、ちょうど爆発が起きた直後、俺の意識がかろうじてあるかないかといった状況のようだ。
画面の中には、黒・緑・ピンクのボディスーツをまとった三人の人物と、制服姿の青島京子、そして倒れて頭から血を流す俺の姿。加えて、ハムかずのこ男と名乗る異形の大男が映っている。
意識を失いかけている俺の腕に、素早く何かを装着させる京子。そして俺の手に何かのカードを握らせ――。
「――――!」
俺は再生される映像に釘づけになった。画面の中の俺が一瞬赤く発光し――瞬時に全身が赤いボディスーツに包まれていたのだ。ちょうど、三人のコスプレ野郎と同じような。
驚愕はまだ終わらなかった。
京子が自らの左腕にカードを触れさせ、ポーズと共に掛け声をあげた。
「チェンジ! ドリルブルー!」
――瞬間、彼女もまた青い閃光を発したかと思うとボディスーツ姿と化していたのだ。
「てとらっ、悪いけど少輔をお願い!」
京子はコスプレスーツ(赤)のまま昏倒している俺を、“てとら”と呼ばれたピンクスーツに引き渡す。この時点で俺の意識はない。
「三人同時攻撃でいくよ!」「うん」「どんとこいですわ!」
「スフィンクス・バイト!」「ウータンナックル!」「ゴリラタパルト!」
「ひでぶー!」
最後の黒スーツの攻撃を受けたハムかずのこ男は半壊の店内から吹っ飛び、カメラからフレームアウトしていった。
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