魔法検査、そして世界の法則
「それじゃあ、今度はここにある七つの石それぞれに魔力を送り込むようにイメージしながら、いまから言う魔法を構築してみて。とりあえず、この石からやってみようか」
カイトがまず選んだのはオレンジ色のものだった。机の上には消しゴムぐらいの大きさの石がおかれていた。オレンジ、緑、紫、黄、鋼、茶、水色の透明な石。
これらの石を使って、魔法の得手不得手を見るらしい。魔法適性というよりかは、単一の属性のみを見るみたいだ。
「それじゃあ、最初は水を出すところから始めようか。魔力を何に置き換えるのか考えれば、楽になるよ」
水。てことは、今回は魔力を水だと思えばいいのかな?
やってみると、以外と簡単に出来た。最初は加減が難しそうだったので、思いっきり水を少なくして、少しづつ増やしていくようにした。そのためか、綺麗にカイトの用意していたバケツに入った。
「いやー、うまいうまい。それじゃあ、その応用で小さい火を出してみようか」
火も見事に成功させ、続く水、光、大気、金属、土、木も順調に終わった。
今回構築した魔法にもそれぞれ名前があるらしく、
正直に言うとこれらの名前を覚えられそうにない。だけど、イメージだけで魔法は構築できるのから、多分大した問題にはならないと思う。多分。
「カツト!今見た感じだと、基本魔法は全て得意不得意もなく構築できると思うぞ」
「あら、カイト、それはほんと?」
「ああ、イメージがちゃんとできていれば基本魔法なら」
「えっと、それってすごいんですか?」
ルーレットとカイトがウキウキとした声で話しているのに追いつけていなかった。
「そうだよ!属性が全て完璧に使えるなんてなかなかいないよ。僕の場合だと金属属性の基本魔法が構築はできるけど精度が劣っていてね」
「克人様、私の場合ですと、光属性が弱いんですの。ですから、克人様の基本属性の精度はかなり高いですわ」
とにかく二人の話からわかったのは、基本魔法は大抵一つは精度が低いものがあるらしく、7つとも完璧にできる人はまずいないと言うことだった。
二人の興奮が収まったところで、生命魔法、生産魔法、調合魔法もそれぞれ行使して見ることになった。
カイトによると、基本魔法さえできていれば他の属性も基本出来るそうだ。どの魔法も、一番基礎となる光属性、火属性、水属性のそれぞれを使った初心者向けの魔法を構築すれば良いようで、こちらもすんなり通ってしまった。
「さて克人、一応結果を知らせると、全ての魔法を一応構築することができるみたい。だから、なろうと思えば何にでもなれるけど、どうする?」
カイトはおじいちゃんの事情を知っているようなので、あくまで確認のために聞いてきた。もちろん、今更変える気にもなれないので、見習いを職業として選択することにした。
「それなら、サブ職業は何を選択する?」
サブ職業ってなんだろうか?普通に考えて
「え……、ルーねー、説明しなかったの?」
カイトが克人の非常識さを見かねてルーレットに確認し始めた。当のルーレットはそんなことはどこ吹く風で澄ました顔をして明後日の方を見ていた。
汗を流していたのは見なかったことにしよう。
「ハァー、えっと、この世界での職業の制度についてどこまで聞いている?」
「兼業できるって言うことと、カフェのマスターの大まかな内容についてだけ……」
「ルーねー、あのお方はもうちょっと詳しく話さなかったのか?」
「仕方ないでしょ。あまり時間がなかったから簡単にしか話せなかったのよ」
「ハァー、それじゃあ、今から説明するからとりあえず聞いといて」
そう言うと、カイトは背後に取り付けられいる黒板に何か書き始めた。
それによるとメインとなる職業は条件さえ揃えば変えることができ、それに関連した職業をサブ職業として選ぶことができる。メイン職業は一つしか選べないけど、サブ職業は制限こそあるものの幾つでも選べるそうだ。そしてメイン職業を変えた場合、習得したサブ職業はリセットされ、また一から習得するしかないそうだ。ただし、変更した職業のサブ職業が元の職業にもある場合だけはリセットされることはないそうだ。
「と言う感じなんだけど、理解した?」
「多分……」
「よし、じゃあ、アプレンティスならサブ職業の幅が広いけどどれから習得するかじっくり決めておいで。リストは今渡すから」
そう言って、リストを渡された。渡された紙は20枚ほどあり、全て上から下まで埋まっていた。
「ざっと、200はあるかな」
「に、200⁉︎」
一応裏面もと思って確認して見ると、裏面には流石になかった。
「まあ、一晩で職業の概要まで読みきれるかどうかってところだな」
「そんなに……」
見てみると、名称の欄の横にかなり細かい字で概要が書かれていた。
「カイト、今日出来ることはもう済んだでしょうし、もう克人様を返しても良いかしら?」
「ああ、良いぞ。それじゃあな、克人」
なぜかルーレットが帰りたがっているが、それについて何も言わずにカイトは了承した。
ギルドを出てきて、おじいちゃんと合流してから、朝方にいた建物に戻ってきた。外に出たときにはすでに太陽は真上を通り過ぎていた。移動している間、三人の間に会話が一つもなかった。
「えっと……おじいちゃん?ルーレット?どうしたの?」
「克人、急ぐぞ。そろそろお前をあっちの世界の方に連れていかなきゃならん」
克人は、おじいちゃんが何を言っているのか理解できなかった。
「お前はまだあっちの世界の生き物だから、こっちの世界に長くいすぎると向こうの世界に戻れなくなるぞ」
「克人様、とにかく一旦向こうの世界に帰還してもらいます。私もできればこのまま話せる方が良いのですが、あいにくあなたの身が危うくなります。不本意かもしれませんが向こうの世界に一旦帰りましょう」
「え?は?」
「克人様、あなたにとって今日はこちらの世界に長居しすぎました。今から強制的に向こうの世界にあなたを返します」
そうこうしている間に、体がだるくなってきた。
感覚がなくなってくる。
ベッドの上に倒れたようだ。右半身が柔らかいところについている。
二人の姿を捉えた。二人は、微笑んでいる。
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