後継者
「それでだ、俺はお前を魔法使いにしたいんだが、お前はどうしたい?」
そんなことを急に言われても困る。でも、魔法には興味があったので、
「なりたい」
と言ってしまった。
「よかったですね、ご主人」
「これで後継者の確保ができた」
あの回答で良かったみたい。ところで……
「後継者ってなんのこと?」
すると、二人(一人と一匹?)とも、「しまったー、まだ説明してないことがあった〜」と言いたそうな顔になって言った。
セロがおじいちゃんの時計を覗き込んで、それから急にオロオロしながら口を開いた。
「かんたんにしぇちゅみぇいしみゃすと」
「セロ、落ち着け。確かにリミットまで時間がないけど、一回落ち着け」
「失礼しました。簡単にしぇつめいしみゃすと」
あまり変わってない気がするけど,言わないでおこう。
「代毎に継承者を輩出しなければならない家系にあなたは生まれてきたってことにゃ」
かなりおおざっぱな気がするが,そういうことなのだろう。
「ところで,さっきリミットって言ってたけど,なんのこと?」
「あなたが目覚めるまでのタイムリミットのことにゃ」
「おっと,セロやばいぞ!時間が迫ってきた。それじゃあな,克人。この続きは現実世界で」
すると,急に自分だけが風に吸い込まれる感覚に陥った。
ベッドで横になっていると,いきなり体に重さが戻るような感覚に陥ったことがある人がいると思う。まさにその感覚を味わいながら起きた。
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