夢の中の喫茶店

 中に入るとそこにはおじいちゃんがいた。

「なっ、なんでおじいちゃんがここに!?」

「お昼に言っただろ、俺が魔法を使えたらどう思うって」

 それに対して小声で、

「バカらしい例え話だと思った」

 と言ったら、

「お前、今なんて言った?」

 と、笑顔で怒られてしまった。おじいちゃんは、恐ろしいぐらいの地獄耳なのを一瞬忘れていた。

「克人、コーヒー入れるから少し待っていてくれ」

 とりあえず、おじちゃんの言う通りに待つことにする。立って待っているのもあれだったので、適当にカウンターに座った。

「うい。飲みながら話そうか」

 出されたコーヒーは何の変哲も無いただのコーヒーだ。でも、自然と落ち着いた気がした。

「克人、何か聞きたいことがあったら言ってくれ」

「それじゃ。何で僕の夢の中に喫茶店はあって、しかも、おじいちゃんまでいるの?」

「俺は、魔法が使えるからさ」

「それじゃあ説明になってないじゃん」

「そうですよ。いくら何でも、無茶苦茶過ぎますよ」

 セロが横から喋ってきた。

「あなたに仕えている私でもわかりませんよ」

「すまんな。でも、この容姿でおじいちゃん呼ばわりされているからな……」

 確かに、見た目四、五十歳なので、魔法が使えるかもと、一人で納得してしまった。

「ところで、なんで僕を呼んだの?」

「おお、忘れるところだった。実は、お前を魔法使いにしたい」

「……」

「嬉しいかぁ?」

「……」

 何もいえない。

 とりあえず、

「おじいちゃん、頭ボケてきたの?」

 と言っておいた。

「アホ!頭はボケていない。脳みそがいっぱい詰まってるぞ」

「私としましても、脳みそが詰まっているとは思えませんが……」

「うるさいぞセロ」

 言い終わるが早いか、セロがおじいちゃんに、猫パンチを食らわした。

「いくら、俺より長生きだからって、それはないだろ……」

「うるさいですにゃ!いくら召喚された身とはいえ、あなたを育てたのは誰だと思っているのですか!」

「うっ、」

「確かに旅をさせて、いろいろありましたが、一人前にしたのは私ですよ」

「すみません」

「分かればいいんです」

 なんか、上下関係が分からなくなってきた。

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