夢の中で

 ドテッ

 ん~、なんか物音がしたなぁー。でも眠いから寝よ。

 ドテッ

 ん~、何が落ちたのかな。

 トス

 痛っ!なんかが、股間の上に落ちてきた。よく見ると、正体はうちの飼い猫だった。しかも、

「起きた?早くして」

 ニャーとか、グルゥニャーではなく、「オキタ?ハヤクシテ」といってきた。

 この状況で、驚かない人はそうそういない。

 何秒か遅れて、

「人間の言葉が喋れるの?セロ?」

 と恐る恐る聞いてみた。名前の由来が昔有名だったマジシャンだったからかな?

「もちろん、現実世界じゃ喋れない。こっちで喋れるのは、克人様がこっちの言葉で話しかけてくれたから」

「つまり、''世界から猫が消えたなら''的な現象が起きてるんだね。」

「よくわからない。私が世界から消えることはないし、そんなことを考えたくない」

 と、ピシャリと言われてしまった。

「とにかく、ご主人様からたのまれた事を早くやらないと……。早く歩いて!」

「ご主人様から頼まれたこと?ねえセロ、ご主人様って誰?それに、この夢リアルすぎない?」

 と、聞いてみた。

「ここは夢の中だ。」

「え、でも、床の硬さが伝わってくるけど、気のせい?」

「気のせいだと思ぅ・・・。」

 うん!?さっきの自信はどこにいった?というか、本当にこの夢はリアルすぎない!?

 天井というか頭上では、星が綺麗に輝いていたり、床がクリスタルのようにツルツルキラキラしている。しかも、感覚があるんだから、半ば怖さすら感じる。

 セロがどこかへ向けて歩き出したので、それを追う。

 しばらくすると、遠くの方に明かりが見えてきた。

 するとセロが、

「ついたよ」

 と言ってきたので、

「どこに」

 と聞いてみた。

「目的地に」

「……」

 さっき感じた驚きなんて、屁でもなくなってしまう。

「早!さっきまであんなに遠かったのにィ……。なんで?」

 しかも、セロが猫パンチを食らわせてきたのだ。

「痛ったー」

「見上げて」

「何やって……、エ~~~~~~~~~~~~~~」

 目の前に家らしきものがあるのはわかっていた。だけど、そこに驚いたわけじゃない。ついたところの看板には「喫茶店マキネッタ」と書かれていた。なんで驚くかというと、その店名がおじいちゃんの店の名前と同じだったからだ。

 すると、

「入るよ」

 と言って、入っていったのだ。「食品衛生上どうなのかな?」と思ったけど、とりあえず入ることにした。

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