第75話 文化祭一日目
文化祭。それは生徒のほとんどが楽しみなものである。
友達と自由に校舎内を歩き回り、アトラクションや模擬店、ショーなどを楽しむ。
そんな自由で楽しいものであるが、大変なこともある。
自分のクラスの出し物のシフト、売り子などやる方も苦労を重ねているのだ。
そんな楽しくもあり、忙しくもある文化祭。さて、会科高校の場合はどうだろうか?
会科高校前の駐車場。小雨が降っているということもあり、たくさんの車が学校に来訪した。
そんな中、茶髪で天パを白いヘルメットで隠し、透明のレインコートを会科高校の制服の上から身につけていた男子生徒は赤く光った誘導棒を使い、途切れる間も無くやってくる車を案内していた。
「………………って、ちょっと待て。なんで俺は……駐車場の案内なんかしなくちゃならないんだー!!?」
そう叫んだ男子生徒。その叫びが聞こえてか、目の前で案内を待っていた車の運転手は唖然としていた。
その男子生徒の身につけているレインコートの下に見える名札には『鈴谷智大』と書かれていた。そうトムだ。
(いや、少し冷静になれ。そして、思い出せ。俺はなんでこんな案内をしているんだっけ?)
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文化祭前日の放課後。
トムと祐子は担任の大和田に呼び出されていた。
「鈴谷一年B組の出し物の準備はしっかり終わったか?」
「……一応は」
と、目を合わせないように言うトムに大和田はため息をついて、
「ならいいが。それで今日は別件で来てもらったんだ。文化祭一日目に文化祭実行委員は駐車場の案内係をしてもらう。だから、30分くらいは文化祭を回れないが、しっかりとやってくれよな」
と言った。
トムと祐子にとっては文化祭の30分を無駄にするのはかなりきついところではあった。しかし、それをすれば、後は自由で良いと言われたから二人は承諾した。
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「そーだよ!承諾したけどさぁー!!なんで一年B組の前後の組の実行委員が休んでんだよ!!」
そのような苦痛のような声が文化祭の一日目中響いたとさ。
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