第69話 会科高校の校長

「うーん......」


「やっぱりわからないね」


三月と祐子の帰宅中。数分前までは笑い話を語り合いながら、歩いていた。しかし、三月が朝礼の時、教頭の使っていたマイクが立ててあったのだが、マイクの位置が高すぎて背伸びしながら話していたということを話した時、祐子にある疑問が浮かんできたのだ。


「ここの学校の校長先生ってだれだ!!?」


「って言ってもね。毎回、『校長挨拶』じゃなく『教頭挨拶』だし、そもそも校長室無いし、というか一回も校長見たことないし。もしかして、校長いないかもね」


三月は祐子の疑問をあっさりと答えた。祐子と三月の考える時間は同じだったはずなのに、解答のヒントらしきものが3つも出た。


「たしかに。私もいつも疑問に思ってた」


祐子は自分に劣等感を感じ、ただ同意をすることしかできなかった。しかし、はっと思いついたことを適当に言ってみせた


「でも、これって俗にいう学校の七不思議みたいなかんじかな?」


「どうなんだろうね。もう、担任とかに聞いてみる?」


少し、ミステリー感に入りたかった祐子だが、三月にあっさりとスルーされ、もはや顔のパーツの1つ1つにも変化が起きなかった。


「じゃあ、明日大和田に聞いてみよう」


「さんせーい!!」


しかし、彼女らはあんな結末になるとは思いもしなかったのである。





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