第68話 オールナイト

「ふわぁー......。眠いなー」


トムはまだ登校したばかりというのに自分の席に座った瞬間大きなあくびをした。そんな様子を見かねた将悟はトムに近づいていき、


「まだ朝だよ。眠くなるには早いって」


と、トムの元気にさせるような言葉をかける。しかし、いつも授業中だけ眠くなっているトムなのだが、今日に限っては目にクマができるほど眠そうにしている。


「もしかして、オールナイトした?」


将悟は手を顎に当てながら、名探偵のように自分の推理を話してみせた。簡単にまとめたのに案外図星だったようで、机に突っ伏せていたトムはゆっくり顔を上げ、


「......そーだよ。今回だけは宿題出さないと三倍にして出すって言われたからね」


と、言った。その証拠を将悟に見せつけたいのか、寝ぼけナマコで自分のバックの中からやってきた宿題取り出そうとするが、


「えっ?......ええええええええ!!!?」


「どうかしたの?」


「......わーすーれーたー」


と、トムは忘れたショックでひとつずつ言葉を発しながらその場に倒れて寝てしまった。


「ドンマイ」


将悟のあっけない言葉のあと、担任の大和田先生に真顔で前回の宿題の約3倍の量がある宿題を出され、2日連続で徹夜をするはめになるのだった。




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