第41話 やっと気づいた
トムの風邪が一週間続いてからの次の日
「久しぶりの学校だけど、嬉しいような悲しいような、、、」
トムは勉強が大嫌いなので、風邪を引いたら勉強することは無い。しかし、風邪を引いてしまっては友達に会うこともできない。この矛盾が彼を困らせていた。重い足取りで家を出る。
(はぁあーあ。授業受けないで友達と会えないかなー)
そう思いながら空を見上げる。空に浮かんでいる雲がこんな悩みで苦しんでいる自分を見下されているようでいい気分ではなかった。しかし、空を見ていると気分が晴れ晴れしているような感じもした。そんな風に思っていると、後ろから声をかけられた。
「よっ!!トム。登校しながら、何、黄昏てんだ?」
将悟だった。晴れ渡る空の下、それに合うような笑顔で話をしてきた。
「黄昏てたわけじゃねぇーよ。ただ、勉強したくないなーって思っていただけだよ」
トムがそう言うと、将悟は真隣にやってきて、冗談のように
「なに言ってんだよ。今日、期末テストだぞ」
と言った瞬間、トムは言葉を疑った。
「え?テスト?」
「そう」
「期末、、テスト?」
「うん」
トムの動いていた足が止まり、
「え、ええええええっ!!!!」
その叫びは口からビームでも出るんではないか、その言葉が固まって出てくるんではないかと疑うほどの大きさだった。
「そ、そんなの初耳だよ!!」
「まぁ、トム休んでたからな」
「なんで教えてくれないの?」
「俺、ケータイ持ってないし」
「家に伝えに来てよ!!」
「そもそも知っているかと」
「大和と陸斗は!?」
「そんなの俺に言われても、、、」
「お、終わった、、。テスト、、終わった、、、」
トムの口から生気が抜けていった。スルスルスルっと。生気が抜けていったトムはひどく青ざめた顔だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます