第39話 幻

みんなと別れた後の将悟の帰り道


「ふわぁー。鷹広、何かあったのかなー」


一人つぶやく。その帰り道には日が暮れかけていて、自身の影が進行方向のほうに伸びきっていた。その影を辿るように顔を上げると、その先には黒髮でキノコヘアーの少年が歩いているのを見かけた。


(しばらく見てなかったから、話しかけてみよっと)


後ろから気づかれないように歩く将悟。次第にその距離は縮まっていく、、、はずだった。


(あれ?なかなか追いつかない、、、)


どんなに早歩きしても、全然距離が縮まることはなかった。そして、角を曲がった瞬間、


(き、消えた!!)


そう、消えた。突然その場から消え去ったのだ。正確に言うと逃げたのだろうが、あまりにも綺麗に逃げたので、消えたのように感じたのだろう。しかし、将悟は


(幻でも見たのかな、、、。まぁいいや)


と、思うだけであった。

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