第31話 ミョウガは匂いがやばい

「よし、作ってきたぜ」


大和は熱を防ぐ手袋みたいなものをつけ、笑顔で鍋を持ってきた。それをおき、蓋をあけると変な匂いがぷーんと臭ってくる。


「、、、な、なに作ってきたの?」


トムと将悟、さっきから話に加わっていなかった陸斗でさえ、顔を歪ませる。


「ミョウガスープ。俺の好物なんだよねーミョウガ」


匂いの正体はミョウガだったのだ。確かに好き嫌いが分かれる食べ物であるが、鍋の中には本当にミョウガと沸騰したお湯しか入っていなかった。


「さ、トム。食ってみて」


ニヤニヤしながら音符がつきそうな声で言う大和。なぜなら、トムの大嫌いな食べ物はミョウガなのである。しかし、大和は本当にミョウガが好きなのだろう。だから、嘘は言っていない。


「いやいや、先に言っておくけどさ。これ、ミョウガとお湯しか入って無いじゃん!!ただの嫌がらせのほかならないよ!!」


「俺だってさっき嫌いな納豆食べたんだ!」


「でも、俺のは単体じゃないし」


「俺のだってお湯が一緒にあるじゃん!!」


「うう、、、わーかったよ。食うよ」


「よし、それでこそトムだ!!」






その後、悲鳴が響きわたった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る