第28話 クソゲーの神作に会いたい

祐子は日曜日古本屋に行き、中古のゲームカセットを買ってきた。


(適当に表紙だけで選んじゃったけど、まぁ大丈夫だよね)


表紙には勇者の物語っぽいのが描かれていた。感覚で選んでしまった祐子だったが、表紙だけ見ると駄作、言ってしまえばクソゲーには見えないだろう。


(でも、私こういうゲーム好きなんだよね。かっこいいし!!)


祐子は昔からそういうゲーム、いや、物語が好きだった。いかにも主人公補正みたいなのがあるのが。


自分の家に着いた祐子はさっそく買ってきたゲームカセットを入れ物から出し、専用のゲーム機に差し込んだ。


(さぁ。どんなゲームなのかな)


【君は今日から勇者です。

あなたは悪の限りを尽くす魔王軍を倒す依頼 を受けました。

どうする?】


(え?どうするって、、、?)


画面をスクロールしていくと選択肢が出てきた。


【1、魔王軍本拠地に今すぐ向かう

2、断る

3.伝説の剣を採りに行く】


(うーん。じゃあ、一瞬でクリアを信じて、1で)


祐子が1を選択した瞬間、画面が変わり、


【GameOver

理由・魔王軍本拠地に行く前に山賊にやられた。】


(うええええ!!勝手に山賊にやられたー!!)


画面は最初の画面に戻る。


(くそー。だったら、3だー。)


【勇者は伝説の剣を採りに行った。そして、その場所まで1分とかからなかった。】


(まさか、そんなご近所的感覚で伝説の剣の場所までつくなんて)


【どうする?】


(またここで選択肢か。さて、なにかな?)


と、また画面をスクロールしていくと選択肢が出てきた。


【1、剣を抜く

2、諦める

3、剣が刺さっている岩を砕く】


(ええぇええ!!3ってナニコレ!!セコすぎでしょ!!)


と3に過剰反応してしまったが、もちろん祐子が選ぶのは、


(1に決まってるでしょ!!)


【勇者は剣を抜こうとした。

何かのスイッチが入った音がした。

どこからともなく鎖が飛んできて勇者を捉えてしまった。

GameOver】


「と、トラップかよぉおおー!!!!!」


床でドタバタする祐子。そしたら、いきなりドアが開き、


「うるさい!!こんな真昼間から!!」


祐子のお母さんが出てきて、怒鳴りつけた。そして、我に帰った祐子だったが、ゲーム機のコンセントが抜けていることにまだ気がつかない、、、、、。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る