第6話

「んん~!すっごい美味しい!ふわっふわ!こんなの今まで食べたことないわ!」


この上ないくらい幸せそうにパンケーキを頬張る彼女を見ながら僕もひと口食べる。


「美味い…」


つい本音を溢すと、彼女は


「来てよかったでしょつ?ね?ん~美味しい~」


「そうだね、来てよかった。」


彼女は素直に肯定した僕に少し驚いたように笑い、またパンケーキを口にした。


彼女と食べるものはなんでも美味しく感じる。誰だったか、人とする食事ほど美味いものは無い。なんて言っていたがその意味がわかった気がする。


そんなことを考えながらパンケーキを頬張っていると、僕も彼女もいつの間にか食べ終わっていた。

彼女の方を見ると、


「美味し過ぎてあっという間だ…」


なんてぼそっと呟くものだから、思わず可愛い人だななんて思った。


「この後はショッピングに行くんだろう?出ようか。」

と言いながら僕が伝票を手にすると、


「私が連れ回してるだけなんだから私が払うわ!」


と、伝票を奪おうと彼女は手を伸ばす。


「デートなんだろう?デートなら僕が払うべきじゃないか?」


と、笑いながら少し意地の悪いことを言ってみる。


すると彼女は、

「そうね、今回は大人しくご馳走になるわ。」

と少し不服そうに言った。


そんな彼女を見て僕は柄にも無くデートって割といいものだななんて思ったのだった。

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