第3話

次の日、彼女は一枚の紙を持っていつものように中庭へやって来た。

僕がそろそろ授業に出なくて大丈夫なのか?と聞いたところ、残り3ヶ月座ってつまらない話聞いているだけじゃ時間がもったいないでしょ?と返された。

教師にも同じことを言ったようだが納得されたらしい。なんなら担任には俺もお前だったらそうすると言われたと笑っていた。


まぁ、そんなことはどうでも良くて、問題は紙に書いてある内容だ。

その紙切れはどうやら"To Do リスト"のようだった。


彼女曰く、ここに書いてあることが死ぬまでにやりたい。いや、彼女にとってはやらなければならない事らしい。


中身はこうだ。

1.デートがしてみたい

2.海へ行きたい

3.回らないお寿司が食べたい

4.パンケーキも食べたい

5.ジャンクフードを気が済むまで食べたい

6.おにぎりの具は何が一番美味しいか決める


ここまで読んで僕はため息をついた。

きっと誰でもため息くらいつきたくなるはずだ。


「なんだこの頭の悪そうなリストは?」


そう言った僕に彼女は、

「裏!裏もあるから!」


そう言われたので裏を見ると確かに続きが書いてあった。

7.部屋を片付ける

8.家族に手紙を書く

9.志貴を殺す


ほう、と思った。

まさか、「死ぬまでにやることリスト」に僕の名前があるとは思わなかった。

ただ、気になる事がある。

それは、


「ひとつ聞いていいか?

9の僕を殺すって書く前に何か書いて消してないか?」


そう、何度も書いて消した跡があった。そこ以外はなんの迷いもなく書いてあるのにだ。


「ばれた?んー、言わなきゃいけない?」


彼女は苦笑いした。


「いや、いいよ。」


そう答えた。

よく見ればわかったからだ。

そこには、うっすらと「生きる」の文字があったのが。


それに気がついた時、僕は彼女に死にたいだなんて言ったことに少し後悔した。

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