第2話

「おはよう!志貴!」


元気な挨拶をしながら今日も彼女は中庭に来た。


「おはよう。」


最近は毎朝このやりとりをするので反射的に挨拶を返す。


「ねぇ、志貴?あなた死にたいって言ってたじゃない?なんで?」


突拍子も無くそんなことを聞いてくるので少し驚く。


「死なないから。死ねないからだ。僕は生き続ける。もう何百年生きたか分からない。」

誰かにこんな事を言ったのは久しぶりな気がする。


「へぇ、私はあと3ヶ月で死ぬのよ。きっとあなたが私の分を吸い取ったのね。」


彼女はとても3ヶ月後に死ぬ人間とは思えないほど明るくそんな言葉を放った。

そして、彼女は続けてこう言った。


「ねぇ、貴方の持て余した時間をちょっとだけ私にくれない?」


「どういうこと?」


「あなたは死にたいのよね?」


「そうだね。死にたい。」


「私が死ぬまでの3ヶ月、あるかは分からないけれど、あなたが死ぬ方法を探すわ!そのかわり、あなたも私が生きる方法…とは言わないから、やり残したことをやり遂げる手伝いをしてほしいの。」


そんなことを言った彼女に僕は、

「面白い提案だね。いいよ。その話乗ろう。」

少しの好奇心と、同情からそう答えたのだった。

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