第8話イケメン

「まー君!」


朝の恒例になっている。


ボサボサ頭で正弘は、家から出て来た。


「まー君、寝不足?」


「いや、寝違えて首が痛いだけ。」


ミヨリは、心配そうにしながら正弘の首筋を触った。


「保健室で湿布もらおう。」


ミヨリが正弘の腕に自分の腕を絡めてきた。


「で、咲の好きな人って?」


「やっぱりあのバイト先のイケメンだと思う。」


「何でそう思うの?」


「あの人、ネットで調べたら高校野球で甲子園行った経験がある人だった。」


「マジ?すげーな。」


でも、何で甲子園選手が牧場でバイト?


「家が超貧乏でバイトしながら野球続けてるんだって!」


なるほど、咲は一生懸命な人が好きなのか。


ミヨリは、瞳を輝かせている。


「決まりだな。」


「おにいとしては申し分ない相手じゃない?」


「そうだね。」 


「今日、咲にユサブリかけるね。」


そうか、でも、何でミヨリはそんなに積極的なんだろう?


「ソフトタッチでね。俺まで咲に怒られるからさ。」


「了解でーす。」


冴えない兄貴を持つとハングリーな人を好きになるんだな。


少しは、俺も役に立ってると正弘は思った。

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