第27話


すると瞬間移動したかのように一瞬で2人の前に現れたシルクとレイは泣いていた。


「ありがとう。」


「え?」


「名前呼んでくれたから。」


「あっ…。」


名前を呼んだだけではあったけどシルクとレイは嬉しくて笑顔のまま流れる涙は止まらない。


「何か用?」


「天界に行ってみたい。もちろん2人と皆には付いていて欲しいの。」


「分かった。」


柚茉がそう言ってシルクとレイ、精霊達を見回すと笑顔で返事を返してくれた。


その後、何の問題も何もなく簡単に2人は天界へ登れた。




天界に着くと…

そこは城の中だった。


「おかえり。」


そう笑顔で迎えてくれたのはユーリとライ。


「あの…。」


「聞いてるよ。天界に夜はないから見てきて。君達の前世が作った世界だから。」


「…はい。」


「ユーリ、ライ。一応他の兵は何かあるといけないから地上に置いてきた。」


「ありがとう。」


「あれ?翼!?」


『ここに居るよ。』


先程まで成年ほどの大きさだった精霊達は小さくなっていた。


『この大きさが嫌なら戻るよ。』


「どっちがホンモノ?」


『んー。両方?大人数で動くの好きじゃないかなって思ったから。傍には居るよ。約束したから。』


「ありがとう。」


4人は城の中を歩き回り外に出た。

城の内装はほとんどが城で統一されたまに緑の植物が置いていたり、窓から空が見えていた。


外に出ると城を中心に街が広がっていた。

地上と何ら変わりない。

あるとすれば鳥のような羽根をした小さな子達が遊び回り、トンボのような羽根をした翼達に似た子達が飛び回っていた。


柚茉達の羽根は鳥のような羽根である。


「…綺麗。」


『柚茉と亞夜と違う羽根をした子達が僕達と同じ誰かの精霊だよ。』


「何人も居るの?」


『当たり前だろ。俺たちは一応精霊界では王にあたるだけで天界人や地上人と変わらない。』


ほむら。』


『別に怒ってねぇじゃん。』


「行こう。」


シルクの声かけに城から街へ降りた。


「一応。街の者には伝えていないから柚茉はサイナ。亞夜はサリナと呼ばれるかもしれないけど許してあげて。」


「はい。」


街へ行くと本当日常とは変わらない。

変わるとすれば羽根を出したままなことくらい。

閉じられているし邪魔にはならない。


おかえりなさい。


そんな声が出逢うすべての者が発した。

その度に軽く頭を下げたり微笑み返したりする2人。

それが嬉しくて近寄って握手したりする者もいた。


疲れると言うより、どれだけ慕われているかが良く分かるようなことばかり。



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