第25話
生徒達の結界を解くと、先生に連れられ校内に入っていき、ナオトと校長は柚茉の方に来た。
「ご苦労だったな。ナオト。」
「いえ。滅相もございません。レイ様。先程は失礼致しました。」
「いいよ。仕方ないし。」
柚茉と亞夜の周りに居た者達はユーリとライの姿に軽く頭を下げ、2人はその姿ににこやかに頷き、ナオトは校長と共に立て膝になり少し離れた場所にいた。
「まさか地上の者に騙されるとは。」
「…すいません。」
「ライ。止めろ。2人も仕方なかったんだよ。ただ君達はほぼ間違いなくサイナとサリナの生まれ変わり。」
「その前に城は大丈夫なんですか!?」
「問題ないよ。もう戦いは終わったんだ。」
「終わった…?」
「君達を狙った一撃は多分、サイナとサリナが死んだときと同じ位置。2人はただじゃ死なない。自分の紋章を刻み込み何かあれば反射するように術をかけていたんだろう。」
「…。」
2人はビックリして自分達の胸元を見た。
確かにそこには教科書でよく見る紋章が浮かび上がっていた。
「生きてるよ。けど腕を失った。簡単にもう狙えない。天界も君達が力を解放したことで僕達の結界の上から結界が張られた。その時点で誰であろうが城に攻撃できなくなる。それだけの力ってことだよ。」
「はい。」
「君達が使った精霊術に関してはナオトが言っていた通り君達にしか使えない。そして2人が同時に唱えたことで力が抑えきれなくて凍っていた者達も割れて動けたって所だよ。」
「だから…。」
「どうかした?」
「いえ。何も。」
「後は記憶だね。どうしたい?」
「どういう意味ですか?」
「君達が欲している記憶はサイナ達が多少いじってると思うから。多分、記憶を戻せば全ては分かるだろうし、その時点で城に行くと言うだろう。君達の意志が残るかどうかは分からない。地上に居たいと言うなら記憶は戻さない方が良いかもしれない。」
「それでも戻すとしてやり方とかって…?」
「分からないんだ。シルク。知ってる?」
「知らない。何かに記憶を封印させてるのかもしれないし…。」
すると翼が柚茉に分かるように胸元を示した。
「あっ。」
「どうした?」
柚茉は昔から何故か持っていて形見のようにしていた珠を見せた。
「それが多分それが記憶の珠。壊せば貴方方の記憶は戻ります。」
シルクは少し明るくなった表情でそう言った。
「でも私は持ってないのに私の記憶まで入ってるんですか?」
「多分。その珠からサイナとサリナの力を感じます。」
2人は深呼吸した。
「ちょっと2人にして貰えますか?」
「ゆっくり考えるといいよ。ボクとライは城に戻るけど、他の者達は君達が答えを出すまでここに居させよう。」
「…はい。」
2人はいざとなると怖くなり少し哀しそうにしていた。
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