第24話


『笑ってないで。最後の封印くらいやれよな。』


仕事が終われば消えるはずの精霊達は消えずに寝ている2人を覗き込む。


「あっ。すいません。」


『なんだそれ。』


ほむら。まだ記憶戻ってないんだよ?』


『はぁー?』


赤髪の態度のデカい成年を金髪の子が蹴飛ばした。


『何するんだよ。迅雷じんらい。』


『長い間、寝てたからマシになってると思った僕がバカだったよ。』


『まぁまぁ。2人とも。』


2人をなだめる声に2人は飛び上がった。


『うるせーぞ。つばさ。1人だけカッコつけるな。』


「貴方があの声のぬし!?」


『バレちゃった。』


翼は可愛く微笑む。


「皆、まだ分からないから離れなさい。」


『はーい。』


『やっぱシルクとレイは冷静だよな。あるじと大違いだ。』


そして皆が2人から離れ、囲むように円になった。





しばらくして刃のような光が2人を貫いた…。


他の子達は周りに居たのに気付けなかった。


「神!!」


ものすごい形相で天を睨む。


ふう。」


『すぐやる!!』


「早く2人の傷をっ…!!」


空の光が消えシルクとレイと呼ばれていた2人が柚茉と亞夜に近付いた。


2人の胸元に傷などなく、紋章が浮かび上がっていた。


「ゲホッゴホッ…。ビックリした。」


「ホントだよ。」


2人は何もなかったかのように起き上がり心配そうに覗き込んでいた者達が何人も居て驚いた。


「あれ?本がないっ。」


柚茉はいつの間にか無くなっていた本を必死で探した。


「柚茉。」


「あった?」


「…多分、あれ…。」


亞夜の指さす方向には丸焦げになった本の欠片のようなモノがあった。


「あー!!!」


本は先程の焔で焼き尽くされ、金で作られていた部分だけが残った。


「そうだ。記憶!!」


慌ただしく今度は精霊達に向き直った。


「どうすれば記憶戻りますか!?」


喰い気味に、そこに居る者達に聞いた。


「そんなに戻したいの?」


「当たり前です!!」


「辛い記憶もあるよ。」


周りの子達は心配そうな眼差しを向けた。


「それでもっ…。つばささん!!」


『何?』


「言葉の意味教えて下さい。今まで私達に語りかけたこと全部。」


つばさ。」


若干怒っているのかシルクが睨んだ。


「ねぇ。柚茉。」


「何でそんな冷静なのさ。」


「嫌々。可笑しいと思わないの?」


「何が?」


「私達はナオトさんに聞いて精霊を呼び出したんだよ。」


「精霊でしょ?」


「ナオトさんの話だとシルクさんとレイさんは凍ってるはずだよ。それに性別が分からない子達とナオトさんに似た服装の人も居るんだよ。それに天界は?」


「…あれ?」


確かに見回せば亞夜の言うとおり何処か可笑しい者達も数名混ざっている。


「私達は力の完全解放した姿は今回初めて見せてる。なのに精霊と契約とか、あるじって呼ばれたりとか可笑しくない?」


亞夜はいたって冷静だった。


「全ては僕から話そう。」


「その前に結界を解いてやれ。」


ユーリとライも降りてきた。


「忘れてた。解除レリーズ。」

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