第20話


防音結界ブローフ。これで他の者達に話を聞かれる心配はありません。今後、ユーリ様やライ様が貴方方に脳内通信テレパスを飛ばすかもしれません。」


「…はい。」


2人はライの慌ただしさや、ナオトの顔色に大人しく話を聞いている。



そんな中、ナオトはゆっくり話し始めた。




サイナとサリナの力は天界が始まって以来のモノ。

とてつもなく膨大ではあったが、その力で何かするような子達ではなかった。


だが、サイナとサリナの両親は守護天使となる者を付け、その者達に2人の力の半分を渡した。


それでも2人の力はおとろえることはなかった。


なにもなく穏やかだったある日、とんでもない数の魔獣が天界へ押し寄せた。


2人は必死に戦ったが、死者を蘇らすことは不可能。

7割の天界人が死んでしまった…。


その時の話は今もまだ延々と語り継がれていて知らぬ者達は恐怖に怯えた。


そして戦いが終わる頃、さすがの2人もあまりの力の消耗に少し疲れていた。


天界を護る結界に穴が開いていたのも気付かず他の者達の手当に追われていたが、2人の力を1番恐れていた神が神の世界から攻撃を行い2人を殺してしまった…。


2人が死んでからしばらくしてユーリとライ、2人の守護天使であったシルクとレイ、他に2人の側近達は禁断である年を取らない魔法を自身にかけた。

だが、ユーリとライは問題なかったが、他の者達は凍ってしまった…。


そして今、その凍ってしまった者達の部屋にサイナ達の魔力がもった本を持って行くとヒビが入ったという…。


何が起こるか分からないので城では戦う準備が行われている。




話が終わると、ナオトが前より青ざめているように感じた。


「なら私達も行かないと!!」


「いけません!!」


「どうして!?確かに地上も大切だけどっ…。」


「話の途中で僕と同じ直属部隊の者から脳内通信テレパスが来ました。準備が完了し、結界が前より強いモノを張られ出入りが出来なくなりました。あれを解くことが出来るのはサイナ様とサリナ様のみです。」


「そんな!?」


「祈るしかありません。天界の無事を。」


柚茉は少し何かを考えている。


「柚茉?」


「亞夜。私はやるよ。」


「付き合うよ。」


「いけません!!貴方方をお護りするのが僕の役目。行かせません!!」


2人の前に泣きそうになっているナオトが立ちはだかる。


「行かないよ。」


そう言って2人は笑った。

ナオトが安心した隙に2人は術を唱えた。


「「お願い。私達の記憶を返して。解除レリーズ羽根フィーア。」」


2人は同時に本を持ったまま羽根を出した。



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